ジョナス・メカスによる365日映画、9月21日、264日目。
Day 264: Jonas Mekas
Friday, September 21st, 2007
2:39 min.
Kubelka, cigar,
and the political
correctness---
クーベルカ、葉巻、
そしてポリティカル・
コレクトネス
広場に面した巨大な旧い建物が映り、鐘の音が響き渡る。
カフェで新聞を広げるクーベルカ(Peter Kubelka)とウナ(Oona Mekas, 1974-)。ウナが何かの記事を読み上げ、驚きの声を上げる。「ボーイ!」それに同意するようにクーベルカも「ボーイ!」セバスチャンの姿は映らない。撮影時期は262日目、263日目と同時期の十数年前だろう。
旧い建物はヴェニスのサン・マルコ広場(Piazza San Marco)にある旧行政館 (Procuratie Vecchie)の建物のようだ。ということは、メカスたちがいるカフェは反対側の新行政館 (Procuratie Nuove)の回廊にあるカフェ・ラテの発祥店としても有名なカッフェ・フローリアン (Caffè Florian) だろう。多くの客で賑わっている。近くの席には何かの撮影クルーがいる。
小さな高級そうな皮のケースから「この中には有害な葉巻が入ってるんだ」と言いながら、小ぶりの高級そうな葉巻を一本取り出して吸おうとするクーベルカ。「アメリカでは葉巻を吸うのが流行っているのよ。」「それは知らなかった。」「女の人も吸ってるわ。それは特別の葉巻のようね。」「これはトスカーナ産でとてもいい香りがするんだ。」突然、賑やかな曲の少々雑なバイオリンの生演奏が始まり、クーベルカは苦笑いを浮かべる。「こんなひどいバイオリニストは聴いたことがないよ。ここでさえね。調子外れだ。」クーベルカはカフェのボーイからマッチと灰皿を受け取って、口にくわえた葉巻に火をつけ、くゆらしながら、これはポリティカル・コレクトネスさ、とカメラに向かって微笑みながら皮肉っぽく言う。ところが、ウナが葉巻の煙を嫌がって、席を立ったのを見て、大受けする。