ジョナス・メカスによる365日映画、8月、217日目。
Day 217: Jonas Mekas
Sunday August 5th, 2007
4 min. 4 sec.
A video postcard
from
Virginie Marchand
(not for sissies)
ヴィルジニー・マーシャン
からのヴィデオ・ポストカード
(気の弱い人は観ないほうがいい)
唐突に、生々しい手術の様子から始まり、それに少女が独りで海に入って行く映像が様々な度合いで重ねられる。それぞれはいたく具体的な映像だが、その編集意図は極めて抽象的で、その振幅の大きさに目眩がする。少女は海辺からかなり離れたところまで行ってから、やおらジャンプして頭から海中に飛び込んだ。次に海面に姿を現した少女はなぜか血まみれだった。砂浜で血まみれのまま横たわる少女。
"The little mermaid(人魚姫)"というタイトル表示で始まるそんな3分30秒の「作品」がヴィルジニー・マーシャンからメカスへの"A video postcard(ビデオ・ポストカード、「見る葉書」)"である。終りにはフランス語のタイトル"La petit sirene"に続いてフランス語の小文字だけのエンド・クレジットが流れる。
制作:
ヴィルジニー・マーシャン感謝:
マチルダ、
ノートルダム病院の
医療スタッフと
患者の
ジャン=ルイ・コステ
とフラソワ・ペイン2002年1月
驚くべきことに、実際に知人の手術の模様を手術室で撮影した映像が使われているようだ。
***
ヴィルジニー・マーシャンは、大野一雄とのコラボレーションで知られる舞踏家でもありまた映像作家でもある。吉増剛造氏が、昨年メカスは若い女性を連れ立ってお忍びで東京に来たと語っていた、その若い女性とは、ヴィルジニー・マーシャンだったのだ。ウェブ上にヴィルジニー・マーシャンに関する日本語情報は大野一雄関連が二、三あるだけのようだが、昨年の秋にメカスと一緒に六本木でビデオ・パフォーマンスを行ったことを映画評論家の立田敦子氏がブログ「シネマの花園」に記録していた。
ヴィルジニー・マーシャンは、2005年10月27日、大野一雄99歳の誕生日に横浜の自宅を訪れ、ベッドに横たわる大野一雄と「踊った」。同行したメカス他のカメラマンによる撮影ドキュメントの一端をYouTubeで垣間見ることができる。
また、ヴィルジニー・マーシャンは、2006年4月にブエノス・アイレスで三晩にわたって、大野一雄に捧げる「舞踏」を行った。このときもメカスが同行して撮影している。その断片をYouTubeで観ることができる。
- Tribute to Kazuo Ohno Buenos Aires 1, 07:05
- Tribute to Kazuo Ohno Buenos Aires 2, 06:59
- Tribute to Kazuo Ohno Buenos Aires 3, 07:06
映像作家としてのヴィルジニー・マーシャンの活動の一端は、JONASMEKAS.COMのGuest Film Makersにアップされている12本のビデオ作品からある程度窺い知ることができる。