八垂別墓地の下を南の沢川が流れる

私の住んでいる土地には「沢」が多い。北の沢、中の沢、そして南の沢。それぞれに川が流れ、すべて豊平川に注ぐ。私の住む川沿地区はそれらの沢が豊平川に落ちていく傾斜地に位置し、私の住む家は南の沢に近い。南の沢の上方の土地が地名も南の沢である。私の最も狭い土地身体感覚では、南の沢地区はいつも「背後」にある。たまに振り返ってみる場所である。自宅の「裏山」は、南の沢地区に続いている。

今日は午後から軽い散歩を兼ねて、「裏山」の山道を登り、「八垂別」と呼ばれる原生林(札幌市の特別緑地保全地区に指定されている)を抜けて、南の沢地区に出た。出たすぐのところが公園(南が丘公園)になっていて、「八垂別墓地」が隣接している。この墓地は適度に陽が差し込む高木の林の中のすり鉢状のこじんまりとした土地にあり、落ち着いた親密な空気が感じられる墓地である。ちょうど見知らぬ親子(父娘)がお参りにきていた。亡くなった母親の命日だったのだろう。

その八垂別墓地は、私の家の「裏山」から続く低い山が市道によって切断された端っこにある。そして墓地のある山のすぐ下を、南の沢川が流れている。墓地のある山から市道に降りて、ちょっと行くと南の沢川に架かる「第一こうようばし」がある。

その橋の上から上流の定山渓方面を望んだ。

そして整備された下流を眺めた。

橋を渡った側の川沿いには、下流に向かって百メートルほどアスファルトの遊歩道が続いている。

その途中に川に下りる階段がある。その辺りの川縁は北海道開発局の砂防事業によってできた「南の沢川調整地」と命名された川の公園になっている。川の公園で写真を撮っていたら、三人組の少年少女がやって来た。明らかに何か目的をもって行動している様子だった。声をかけて尋ねたら、「トカゲ狩り」にきているのだった。リーダー格の少女が持つプラスチックのケースにはすでに四匹のトカゲがいた。四匹すべて私が5月23日に自宅玄関前で見たニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides, Japanese Grass Lizard)の幼体だった。

しばし世間話をしてから、喜んで記念撮影に応じてくれた彼らと別れて、川を見ながら、下流方向へ遊歩道を歩いた。

道端でイトバハルシャギク(糸葉波斯菊, 糸葉春車菊, Coreopsis verticillata L.)を見た。

そしてスズラン(鈴蘭, Lily of the valley, Convallaria keiskei)の果実を見た。朝の「すずらんテープ」との奇妙な符合。

藻岩山が見渡せる場所に出たところで、南の沢川には別れを告げて、帰宅した。正味一時間半の散歩だったが、汗だくだった。
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Googleマップ:八垂別墓地から南の沢川へ