Nam June Paik, a wheelchair Nomad:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、10月3日、276日目。


Day 276: Jonas Mekas
Wednesday, October 3rd, 2007
7:44 min.

Nam June Paik
performs on
Sixth Ave.& 42nd Street
(2002)

ナム・ジュン・パイク
6番街42丁目で
パフォーマンスを行う
(2002年)

2002年夏のある日、特設会場の仮設ステージの上で車椅子のナム・ジュン・パイクは右手だけでピアノを弾いている。サマー・タイム、イエスタデイ、サンタルチア、……。だれでも聞き覚えがあるような曲ばかりをとてもリリカルに変奏しながら、淡々と弾いている。鍵盤に連動した照明がたくさん取り付けられたタワーが、光の音を奏でる。ステージの周囲はカメラを構えた報道陣と大勢の一般の聴衆で混雑している。その中に、ステージの直近にメカスはいる。

1996年に脳梗塞で倒れてからは車椅子生活を余儀なくされたパイクは左手の自由を失い、表情もやや固い。しかし、メカスがステージに上り、正面から撮影し始めると、それに気づいたパイクは、「ジョナス」と声を上げて、嬉しそうに表情を崩す。「来てくれてありがとう」。「韓国サーカス団みたいで、いいぞ」。「リトアニアのサーカス団は?」。「ノー、ノー、まだだよ」。メカスの飛び入りは、パイクのソロ・パフォーマンスに花を添えた恰好になり、聴衆から拍手がわく。「続けて。アンコール!」

6番街42丁目の角にはブライアント公園(Bryant Part)がるが、会場は通りを占拠して設営されたようだ。

今までのナム・ジュン・パイク(Nam June Paik, 1932-2006)関連のエントリーは以下の通りである。