a Chuvashian poet, Gennady Aygi:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、11月21日、325日目。


Day 325: Jonas Mekas
Wednesday, November 21st, 2007
9:16 min.

Gennady Aygi
reads his poetry
Sept.23, 2003
491 B‘way
(get his new book
at New Directions!)

ゲンナジイ・アイギ
自作の詩を朗読する。
2003年9月23日、
491ブロードウェイにて。
(ニュー・ダイレクションで
彼の新刊本を手に入れよう!)

"SONG FOR MYSELF"という活字が目に飛び込んで来る。オフホワイトの紙の頁のクローズアップ。ゲンナジイ・アイギ(Gennady Aygi, 1934-2006)の10月に出たばかりの"FIELD - RUSSIA"(New Directions, 2007)の一頁。カメラは行を追う。

secret song: "I want for nothing"
and other than this
nothing I know
only that field too where in memory the soul is suddenly so simple
and still
and the place too is such:
nothing there is ("I want for nothing")
just in boundless expanse the loose board of some building
in some way s o the person-somewhere-here
......

そして、カメラは裏表紙の著者の写真と略歴、表紙の写真、中表紙の出版社名を一通り写す。

Field-Russia (New Directions Paperbook)

Field-Russia (New Directions Paperbook)

広い台所兼食堂の大きなテーブルを10数人が囲んでいる。テーブルの上には、赤ワイン、白ワインのボトルが見える。ゲンナジイ・アイギその人が立ち上がって、眼鏡をかけて、原稿を手に取る。

September 23, 2003
491 Broadway, my house

という字幕が入る。メカスが2004年2月にブルックリンのグリーンポイント(Greenpoint, Brooklyn)に引っ越す以前に住んでいたブロードウェイの自宅でのパーティーの場面である。

アイギは前置きなしで、すーっと朗読に入る。軽ーく、滑らかな、ところどころ何語?と感じるロシア語だ。一編ごとに英語の通訳が入る。たぶんアイギの英訳をずっと手がけてきたピーター・フランス(Peter France)ではないかと思う。

(通訳している人。ピーター・フランス?となりの日本人ぽい若者は誰?)
メカスは自分の左右に座るパーティー出席者を撮る。すぐ左隣に座る吉増剛造さんの後頭部が映る。その隣にはオーグスト・バルカリスがいる。メカスのすぐ右側には見知らぬ三人が座り、四人目は吉増さんの妻マリリアさん。吉増夫妻が招待されていたのだ。マリリアさんの隣が今立って朗読中のアイギである。アイギの右隣には見知らぬ二人がいて、その隣に通訳しているおそらくピーター・フランス。さらにその隣には日本人に見える若い男性。

アイギの朗読と通訳は続く......。

ゲンナジイ・アイギはチュヴァシ共和国生まれの詩人。母語チュヴァシ語による詩作から始まる彼の詩人としての経歴は、パステルナークなどとの出会いを契機にロシア語による詩作へと展開した。アイギの友人でもあり彼の作品の翻訳者でもあるピーター・フランスは、アイギの詩の動機について、「20世紀が失い、破壊したものへの深い意識」("a deep awareness of the losses and destructions of the 20th century")であると語っている。