中古ビデオの背取りでタデウシュ・カントールに再会する

COOPに買い物に行ったら、ちょうど中古の映画VHSビデオカセットの叩き売り(百円均一)をやっていたので背取り(競取り)した。まったく期待はしていなかったが、気がついたらレジで500円払っていた。ちなみに、発売当時の定価を合計すると78,100円である。


掘り出し物は何と言ってもアンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda)監督/タデウシュ・カントールTadeusz Kantor)舞台監督の『死の教室』(THE DEAD CLASS, 1976)だった。タデウシュ・カントールTadeusz Kantor)の同名劇の一種のドキュメンタリー映画である*1。学生時代にタデウシュ・カントールTadeusz Kantor)の『死の演劇』(asin:4891940786)を読んだことを思い出した。まさか、こんな風にして再会するとは思ってもみなかった。



最初は静謐なパッケージ・デザインに惹かれた。タイトル「THE DEAD CLASS」の書体には欧米ではポピュラーなGoudy Old Style Roman(1916)が使用されている。Goudy Old Styleの特徴と設計者Frederic W. Goudy(1865-1947)に関しては「ライノタイプ2004年2月号メールマガジン」に詳しい。



日本語タイトル、クレジット、そして下の映画内容紹介文は明朝体のイタリックに統一されている。ただ事ではなさそうな内容を暗示するのに相応しい文字組である。


老人たちが”死の教室”に集まり、
死を意識しながら幼年時代の記憶を辿る……。
ヨーロッパ最前衛演劇界の奇才タデウシュ・カントール
演劇理念の1つである”死の演劇[ dead theater ]”を
巨匠監督アンジェイ・ワイダが撮った、極めて貴重な
作品が、今、世界で初めてビデオ化……。

*1:カントールの戯曲そのものは、ブルーノ・シュルツ(Bruno Schulz, 1892-1942)の短編『年金暮らし』を基にしているらしい。日本では1988年にパルコがポーランド国外初の公開に踏み切ったが……。