幸福に生きよ!

自分が止むに止まれずやっていることの意味はいずれいろんな形で徐々に明らかになる。不安や自己嫌悪や自信の無さに苛まれつつ生きていた時が、後になってみると、実は一番充実していて、ある意味で一番幸せだったのではないかと思えることも少なくない。生きている限りいつだって今が一番幸せなのだと思い切れるかどうかが、よく生きるコツなのかもしれない。語ることはもちろん、示すこともできないかもしれない沈黙のなかで差し出されるこの世界全体を、生かす、生きる意志で満たすこと。

幸福に生きよ!

 ウィトゲンシュタイン『草稿』1916年7月8日

「誰も守ってくれない」という言葉がこの時代を最もよく表わしていると安全な場所から語る人たちがいる。そうだとしても、否そうだからこそ、せめて敢えて「俺が守ってやる」と言えるくらいの意志で満たされた世界を提示してほしい。でなければ、分かりきったことをこれ見よがしに語るのは謹んで、黙っていてほしい。