ジョナス・メカスの千夜一夜(Jonas Mekas' 1,001 Nights)


 Jonas Mekas' Personal Website


数日前に、ジョナス・メカスの新サイトの顔が上のように変った。日記(Diary)がホームに設定されているのに変わりはないが、その日記に最初の映像日記であるトランペットで「再開の狼煙」を上げるメカスの映像が改めて置かれた。これで新サイトのいわば顔が出来た格好である。それで、思い至ったのだが、これって、あの「千夜一夜(1,001 Nights)」企画の再開でもあるのか、ということだった。


本人が過去最大の挑戦だったと振り返った2007年の「365日映画企画(365 Days project)」の終わりも迫った12月30日に突然予告した「千夜一夜(1,001 Nights)」企画は、当初は世界中からナイトライフ(夜の生活)に関する短い作品を募集してインターネット上(旧サイト)で公開するという内容だった。


しかし、それは実現されなかった。しかも、先日書いたように、メカスは、旧サイトの運営母体であったマヤ・スタンダール・ギャラリーとの提携を解消して、新サイトを開設した。「千夜一夜(1,001 Nights)」企画は頓挫したのだろうと高を括っていた。だが、昨年あたりから時々その名「千夜一夜(1,001 Nights)」が内容を変更した企画としてメカスの口から出るようになった。パリで開催された「私があなたたち、パリの友人たちと分かち合いたい二、三の事柄」展("A Few Things I Want to Share with You, My Paris Friends," agnès b. Galerie du Jour, Paris, May 16 - July 18, 2009)の折での発言と昨年11月に Bright Lights Film Journal に掲載された下のインタヴューでの発言である。



 Film and Film and Film: An Interview with Jonas Mekas


そのなかで、メカスは次のように述べている。

I still film a lot, every day. I'm editing now, a new cycle called 1,001 Nights. After the 365 Days project I thought, what else can you do after 365 days but 1,001 nights? I'm not so sure what I'll do with it ― it will probably be released as a film in installments, and then maybe I'll also put it on the Internet. But I've finished only 14 of the 1,001, and they already make up 75 minutes!


つまり、「千夜一夜(1,001 Nights)」企画は、他人の作品ではなく、自分が毎日撮り続けているものを編集して公開するという内容にいつの間にか変更したのである。しかも「分割払い方式(installments)」になるかもしれないという。


そういうわけで、鈍い私も気がついた。現在進行中の新サイトの「日記」にアップされている映像が、「千夜一夜(1,001 Nights)」のコンテンツなのではないか、と。今日までに7つの映像がアップされているが、それはすでに完成したという14に含まれるのではないか。とにかく、「千夜一夜(1,001 Nights)」企画は生きていた、というか、一度死んで甦ったようだ。


私としては、こらからも、今まで通り、いわば「千朝一朝(1,001 Mornings)」の何周目かを続けながら、時々彼の「千夜一夜(1,001 Nights)」を覗くつもりである。