リフルカを越えると、そこはランポッケ、、。なぜか郷愁に似た懐かしさを覚える場所。
富浦停留所。道南バス路線。北海道登別市富浦町。北海道道701号登別港線、別名登別海岸通。
駅舎はなく待合所があるだけの小さな駅。プラットフォームに上がる雨ざらしの古びた枕木の階段。鉄の手摺は錆びている。強く惹かれる。「らんぼっけ」と書かれた看板の矢印の先は袋小路になっていて、そこにタラコなどの水産加工品を販売する真新しい店「らんぼっけ」が控えている。その前では地元の小母ちゃんたちがしゃがみこんで談笑していた。私が近づくと、真っ黒な瞳が一斉にこちらを向いた。まるで珍しい動物でも目にしたような好奇と驚きの入り混じった強い眼差しに、一瞬戸惑った。
富浦 とみうら(蘭法華 らんぼっけ)
登別川の川下から、すぐ西側のリ・フルカ(高い・丘)と呼ばれた丘陵を越えた処が富浦である。リフルカの富浦側は崖のような斜面でそこに電光形の急坂がついて、幕末の記録では難所とされていた(今でも鉄道のトンネルのすぐ山側にその道が残っている)。それでそこをランポッケ(ran-pok-ke 坂・の下・の処)、あるいは終わりの処を省いてランポクと呼ばれていた。日本地名流にいえば坂本である。それに漢字を当てて蘭法華という地名になっていたが、近年富浦と改名された。富み栄えるようにとの願望からの名であろう。