ヤスパースの実存哲学を読んだ町


ヤスパース選集〈第1〉実存哲学 (1961年)


室蘭市輪西町には高校生の頃に足繁く通った古本屋の「背文字屋」があった。その後中央町に移転した背文字屋にも帰省するたびに足を運んだ。その背文字屋ももうない。高校2年の夏休みに、輪西町の背文字屋でなぜかヤスパースの『実存哲学』を買ったのをよく覚えている。函入りの選集の第一巻だった。それを大事に抱えて、近くの喫茶店「パド」に入り、ブレンドコーヒーを注文して、ほとんど意味不明の言葉の羅列を目で追った。ゆっくりゆっくり頁をめくった。今はもう手許にないその本の重さ、手触り、ちょっと黴臭いにおいを昨日のことのように思い出しながら、先日輪西町をぶらぶら歩いた。17歳の頃には古本屋と喫茶店の背景に沈んでいた建物、四十年ちかくの歳月に耐えて傷だらけになりながらも今なお残っている建物が次々と目に飛び込んで来た。撮らずにはいられなかった。まるで自画像、、。今こそここで「実存哲学」を改めて読みたいと思った。



JR輪西




輪西駅前の公園



商店街



飲み屋街



二股道



二股道




新日鐵体育館




NAGASAWA



FASHION PLAZA KIKUYA




アパート



掲示





未詳




小さな喫茶店 女性自身




池野ラジオ店



未詳




珈琲茶館 パド



珈琲館 パピネス/ハピネス



**川十**



レストラン&喫茶 麦



理容シスター



食料品青果永沢商店



旧印刷屋(フィルムのようにも見えるのは昆布)



抜け道




JAZZ ROCK BLUES 楡

輪西 わにし

 室蘭市内の地名。今輪西といえば室蘭湾奥南岸よりの繁華な輪西市街の辺を考えるだろうが、元来の輪西は北岸の本輪西の地で、そこが地名発生地である。今国道を走ると、本輪西の処で道が半円を描いているのに気が付くであろう。それが昔の入江の海岸線であった。ワヌシのような形で呼ばれていた土地である。語源については(1)ワ・ネ・ウシ・イ「(入江が)輪・になって・いる・処」説(2)マ・ネ・ウシ・イ「澗・になって・いる・処」説(3)ハル・ウシ・イ「食料・群生する・処」などであるが、はっきりしない。

  山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社、1984年、402頁