植苗、社台、室蘭


植苗駅(JR千歳線)、苫小牧市 



苫小牧市植苗

植苗 うえなえ

 ウトナイト沼(通称ウトナイ湖)の北一帯の土地の名。美々川(びびがわ)の中流に東から入っているウェン・ナイ(悪い・川)から出た名らしい。ウェンナイは道内至る処にあった川名であるが、何で悪かったかは殆ど分からなくなっている。徳川時代に、そこに炭焼小屋があり、勇払から千歳方面への陸路の人の休み場になっていたという。そんな処からこの名が付近一帯の地名になったのであろう。

  山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社、1984年、379頁


地名の由来はよく分からないことが多い。これもウェンナイが植苗になったらしい理由はよく分からないという説明であるが、なぜか「炭焼小屋」が印象に残る。



室蘭街道(国道36号)、白老郡白老町社台

社台 しゃだい

 白老町内の地名、川名。永田地名解は「シャ・タイ・ペッ。前・林・川。蝦夷紀行にシヤタイペツの流あり、夷村あり」と書いた。シャ(サ)は前のことであるが、地名では、浜の方を指す。「sha-tai-pet 浜側の・林の・川」と訳した方がわかりよい。

  山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社、1984年、383頁




室蘭市八丁平



室蘭市中島町



室蘭市東町





室蘭市中央町



室蘭市海岸町

室蘭 むろらん

 都市名、旧郡名。明治の半ばごろまでは、室蘭と書いても、それをモロランと呼んでいたのだが、字に引かれて、いつか「むろらん」になってしまった。明治初年までは室蘭湾口北岸のモルラン(崎守町)がこの地方の海からの入口のようになっていたのであるが、明治4年(1871年)函館−札幌間の新幹線通路が開設されることになり、湾奥のトッカリモイに築港して、噴火湾の森から蒸気船で交通することになった。その新港を新室蘭港と称したのだが、それが発展して後の室蘭になった。その結果、崎守町の方は旧室蘭、さらに元室蘭と呼ばれるようになった。
 室蘭の語意には、諸説があるが、たぶんモ・ルラン(mo-ruran 小さい・坂)から来たものであろう。正確にいえばモ・ルエラニ(mo-ruerani 小さい・坂)である。崎守町に入る坂の名から出た名らしい。

  山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社、1984年、397頁




大黒島、室蘭港

大黒島 だいこくじま

 室蘭湾の入口にある島名。この島はただモシリ(島)と呼ばれていた。また絵鞆岬の外側にある、小さい恵比須島(戎島)をポン・モシリ(小・島)と呼び、大黒島の方を対照的にポロ・モシリ(大・島:三上注)ともいった。恵比須島は、松浦武四郎の資料では、弁天島となっている。

  山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社、1984年、399頁


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