写真集

余計な頁

アンドレ・ケルテス(André Kertész, 1894–1985)の写真集ON READINGの邦訳版『読む時間』では、口絵写真と扉の間に原書にはない日本の高名な詩人が書いた詩が「巻頭詩」として印刷された頁が挟まれていて目を疑った。詩そのものの評価はさておき、写真集に…

ロバート・フランクの写真集『THE LINES OF MY HAND』の落書き

かなり傷んだ古書だったが、それがロバート・フランクの写真集『THE LINES OF MY HAND』には似合っていた。1972年に日本で出版された高価本ではなく、1989年にニューヨークのパンテオン・ブックスが出した廉価な改訂版の方だった。その表紙を開くと、見返し…

姜萬保写真集『母たちの済州島』

大型書店のコーチャンフォー(ミュンヘン大橋店)には、目当ての『雑草と時計と廃墟』(asin:4783733406)はなかった。 写真集の棚をゆっくりと見て歩いた。必要以上に豪華に思える造りの写真集が多いのに嫌気がさしてきたとき、等身大の造りの小さな写真集…

タルコフスキーのポラロイド

Instant Light: Tarkovsky Polaroids 晩年(1979年から1984年まで)のタルコフスキー(Андрей Арсеньевич Тарковский, 1932–1986)はロシアとイタリアで、好きな場所、家族(飼い犬を含む)、友人をポラロイドカメラで撮っていた。この『瞬間の光』には、フ…

花の名前

Encyclopedia of Flowers―植物図鑑 本書は東信が2009年から約2年間にわたって制作した約1万本の花卉を使った「前衛的」と評されることの多い、生け花作品の写真集(椎木俊介撮影)であるのみならず、その表題通り、1600種の植物図鑑でもある。巻末には70頁…

君死にたまふことなかれ

Grim Street 「死に急ぐくらいなら、死ぬ気で逃げればいいのに」 「あんたみたいに卑怯でも無責任でもないのよ」 「・・・」 「卑怯とか無責任なんて狭い世間の話だって思ってるんでしょ?」 「・・・」 「でもね、事情は伝わるでしょ。伝わらなきゃ意味ない…

本日の収穫

「セーヌ河(LA SEINE, 1990.11)」が収められた阿部修二写真集『PARIS』(宝島社、1994年)。琴似の古書店で1,000円也。定価3,800円。