『ウェブ進化論』を読む6:群衆の叡智

受講生の皆さん、こんにちは。
本日は、先ず、
1)標準的情報倫理問題5をやりました。著作権法に関する問題で迷った人が多かったようです。
最低限「引用」に関しては、<第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。>「保護期間の原則」に関しては、<第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後五十年を経過するまでの間、存続する。>の再確認を。また、三上研究室の方でリンクを張っている「著作権法入門」 > 「著作権法」> 日本の現行著作権法原文(著作権情報センター)で全文に一通り目を通しておいてください。

2)「『ウェブ進化論』を読む6:オープンソース現象とマス・コラボレーション(後半)」を解説しました。
Web 2.0時代のサービスの構造」の特徴は個々人が「あちら側でオープン」にした情報を集積し、「全体」としての価値を創出することにあり、その最大規模の「新しい価値創出のための自動秩序形成システム構築」の試みがグーグルの検索エンジンなのだということを再確認しました。技術的には「Page Rank」のしくみを何度でも復習を。また、最新事例として、ソーシャル・ブックマーク、フォークソノミーソーシャル・ネットワーキング予測市場の実情を知りましたが、とりわけ、ソーシャル・ネットワーキングの可能性に関する、グーグルの検索エンジンにおける「リンク」を「人間関係(知己)」に置き換えたスリリングな思考実験には、強い関心を抱いた人が多かったようです。まだ「こちら側/あちら側」の感覚がつかみきれていない人がいるようですね。これはネット経験を積むしかないところもあるのですが、ブログを始めることがその感覚をつかむ近道でしょう。今回の最大のポイントは三上研究室の方にも書いてあるように、Web 2.0の動向の中で現実味を帯びてきた「群衆の叡智」の本質についてでした。意外かもしれませんが、ここでは梅田氏が言うように、果たして世の中の誰が物事を「正しく判断する」能力をもつのか、あるいは、誰がどのように重要な意思決定をすべきなのか、というきわめて基本的な問題が問われていて、それに対する新鮮な回答が「ウェブの進化」によってもたらされつつあるということです。「不特定多数無限大の良質な部分にテクノロジーを組み合わせることで、その(ネット世界の)混沌をいい方向へ変えて行けるはずという思想」とそれを支える精神的支柱としての「オプティミズムと果敢な行動主義」が「次の十年、二十年」を見据えた深い現状認識に裏打ちされていることを再確認しておいてください。