情報倫理

36人との船出

2年生32人、3年生1人、4年生3人、計36人の学生と情報倫理をめぐる旅に出た。船出した。いくつかの港を経由してある港を目指す。船に乗り込もうか乗り込むまいか思案気の彼らが立つ岸壁に私も立って話を始める。船に乗り込むにあたっての準備につい…

春学期がスタートして

先週から春学期が開始して、私が担当する講義ものの情報文化論、情報倫理、論理学入門も初回を一通り終えました。情報文化論では大学生としての自覚を深く促しつつ、情報文化史的な背景を押さえた上でインターネットをフル活用した知的生産のための態勢作り…

情報倫理2007 第13回 私の中に大学を/試験

事後報告になりますが、試験はどうでしたか。簡単だったでしょう。最終の今回は、前回「未来」をテーマに語った私たちが所属する大学の連繋的な生かし方の解説の補足として、とにかく何ごとにも能動的に臨むこと、というお話をしました。それは、世界観的に…

情報倫理2007 第12回 インターネット・リテラシーその4:未来は自分で作り出すもの

今回は『フューチャリスト宣言』の第3章「フューチャリスト同盟だ!」と第4章「ネットの側に賭ける」、および梅田望夫特別授業「もうひとつの地球」と茂木健一郎特別授業「脳と仕事力」を参照しながら、今までの総まとめとして、私達それぞれの「未来」に…

情報倫理2007 第11回 インターネット・リテラシーその3 感情の技術

今回は『フューチャリスト宣言』の第1章「黒船がやってきた!」と第2章「クオリアとグーグル」を参考にしながら、ネット/リアルという未だに根強い二分法的思考を乗り越えて、いわばリアルなネット活用を生産的な方向で多面的に考えます。講義の骨子です…

情報倫理2007 第10回 インターネット・リテラシーその2:著作権、オープンソース、そして教養

今回は『ウェブ人間論』の「第3章 本、iPod、グーグル、そしてユーチューブ」、「第4章 人間はどう『進化』するのか」を題材にして、従来の著作権のパラダイム(思考の地平)が今後どうシフトしていくか、資本主義の運動に取り込まれない唯一の運動として…

情報倫理2007 第9回 インターネット・リテラシーその1:検索とブログ

さて、『ウェブ進化論』でインターネットにおける変化、インターネットによる変化の概要を学んだ私達は、そのようなインターネットを積極的に活用する際のより具体的な方法について学ぶことになります。『ウェブ人間論』はもう読みましたか。今回は『ウェブ…

情報倫理2007 第8回 ウェブ進化によって試される人間:信頼とは何か1

今回は『ウェブ進化論』の第六章「ウェブ進化は世代交代によって」と終章「脱エスタブリッシュメントへの旅立ち」を主に参考にしながら、「ウェブ進化」が示唆する「人間論」に入ります。それは『ウェブ人間論』そして『フューチャリスト宣言』にも通奏低音…

情報倫理2007 第7回 群衆の叡智

三上研究室>情報倫理>「09オプティミズムと果敢な行動主義」に書いてあるように、 ソフトウェア開発思想としてのオープンソースからネット世界そして、あるいはリアル世界に及ぶオープンソース現象の諸事例からWeb 2.0の動向の現状を学んだ私たちは、それ…

情報倫理2007 第6回 人はなぜ動くのか

今回は『ウェブ進化論』の「第5章オープンソース現象とマス・コラボレーション」を参照しながら、ネット世界で生まれた人間の新たな行動原理の可能性に迫ります。三上研究室の情報倫理「08オープンソース現象とマス・コラボレーション」に、そのポイントは…

情報倫理2007 第5回 書けば誰かに届くはず、と思えるようになった:ブログと総表現社会

「書けば誰かに届くはず、と思えるようになった」はインターネットの大きな変化の本質を個人的な実感レベルで見事に言い当てた梅田望夫さんの『ウェブ進化論』の中の言葉です。この言葉に励まされて2006年にブログを始めた人の数は物凄く多いのではないかと…

情報倫理2007 第4回 孤島から群島へ:ロングテールとWeb 2.0

受講生の皆さん、今晩は。連休前の前回の講義では「グーグルの凄さ:検索とは思考の別名である」と題して、グーグルのどこがそんなに凄いのか、そしてグーグルといえば、「検索」と言われるが、未だにちゃんと理解されていないその検索の意義について解説し…

私の検索論

情報倫理と情報文化論の受講生の皆さん。インターネットにおける大きな変化の認識を深めるなかで、私がこの一年間に特に「検索とは何か」をめぐって書いた記事の内主要なものを古いものから順に一覧にしましたので、目を通してみてください。いまだにちゃん…

情報倫理2007 第3回 グーグルの凄さ:検索とは思考の別名である

受講生の皆さん、こんばんは。明日は梅田望夫著『ウェブ進化論』第2章「グーグル---知の世界を再編成する」を参照しながら、「検索」という未だにちゃんと理解されていない人間の知的活動にも深く関わるテクノロジーの影響力、そしてそれがビジネスにも結び…

情報倫理2007 第2回 オープンであることの可能性と脅威

受講生の皆さん、こんばんは。前回は初回のオリエンテーションということで、この講義のスタンスとベクトルについて、梅田望夫著『ウェブ進化論』の序章を参照しつつ、近年のインターネットにおける変化について、私の経験も交えてお話しました。結構反響が…

情報倫理2007 第1回 ウェブ社会:本当の大変化はこれから始まる

情報倫理受講生の皆さん、今晩は。明日から講義が始まります。情報倫理は情報と倫理が居心地悪そうにくっついた名前ですが、イメージは湧いていますか。情報と言えば、パソコンとインターネット、倫理と言えば、道徳のことで、パソコンやインターネットを利…

情報倫理:「グーグルを倒すのは'75世代だ」

受講生の皆さん、こんにちは。 今日の試験はどうでしたか。前半の標準的情報倫理問題100問は難なくできたと思います。後半は『ウェブ進化論』の基本的な内容に関わる10の設問に解答する応用問題でしたが、ざっと見たところ、皆さんよく書けているようです。…

『ウェブ進化論』を読む8:生き方を変える

受講生の皆さん、こんにちは。 今回は本題に入る前に、この講義の成績評価の仕方とその一環の次週の試験についてお話ししました。評価の比重については、出席カード3割、標準的情報倫理問題が3割、『ウェブ進化論』から出題する記述式問題が4割です。出席…

『ウェブ進化論』を読む7:言語化不可能な知

受講生のみなさん、こんにちは。 今回は、 1)ビル・ゲイツの「引退宣言」記事「ゲイツ後プログラム済み?」(朝日2006.6.17)の概説、 2)いわゆる「グルメサイト」の進化に関する記事「店選び口コミ結集」(朝日2006.6.25)の概説、 3)「ネットで力増す『集…

羽生善治「ネット社会を生きる奥義」

梅田さんも紹介しているように、 http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060624 明日の授業で解説する予定の『ウェブ進化論』第6章にも登場する将棋の羽生善治三冠の非常に興味深いロングインタビュー「ネット社会を生きる奥義」を読むことができます。 前編…

『ウェブ進化論』を読む6:群衆の叡智

受講生の皆さん、こんにちは。 本日は、先ず、 1)標準的情報倫理問題5をやりました。著作権法に関する問題で迷った人が多かったようです。 最低限「引用」に関しては、<第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、…

『ウェブ進化論』を読む5:ウィキペディア(wikipedia)の「信頼性」

受講生の皆さん、こんにちは。今回は、1)標準的情報倫理問題4をやりました。もうこのレベルの知識は大丈夫そうですね。2)個人情報保護法(2005.4.1全面施行)の解釈を巡る混乱と過剰反応に関する新聞記事(朝日2006/6/7朝刊)を材料にして、学校や病院で目…

『ウェブ進化論』を読む4:ブログと総表現社会

受講生の皆さん、こんにちは。今回は 1)改正著作権法(2004.1.1施行)を巡る「映画53年問題」にふれ、企業間の利害の対立が法律の解釈上の対立となって表面化していること、そしてそもそも映画だけを保護期間70年に延長した改正法自体の本質的問題について学…

『ウェブ進化論』を読む3:ロングテール現象とWeb 2.0

受講生の皆さん、こんにちは。今回は、初めにちょっとだけ、「オヤジのおせっかい」話をしました。そして、このブログでも紹介してきたグーグル・ブックサーチ、グーグル・トレンド、グーグル・アース、グーグル・マップ等のグーグルの「ルール破壊的」サー…

『ウェブ進化論』読む2:グーグルの凄さ

受講生の皆さん、こんにちは。今回は 1)グーグルの「書籍検索サービス」の凄さと「ウィキペディア」を概説してから、 2)資料「『ウェブ進化論』読む2」を使ってやっとグーグルの実体を解説しました。ネットの「こちら側」と「あちら側」の違い、グーグル社…

『ウェブ進化論』を読む1:「革命」であることの真の意味

受講生の皆さん、こんにちは。本日の授業では、1)大学生のうちに身につけるべき心構えについて説教しました。 2)標準的な情報倫理の知識を問う「練習問題3」をやってもらいました。コンピュータとネットワークの基礎的な知識と著作権法をはじめとする法律の…

『ウェブ進化論』を読む0:インターネットの真の可能性

受講生の皆さん、こんばんは。本日の授業は、 1)標準的情報倫理の知識を問う、練習問題2をやり、 2)インターネットの新しい動向Web 2.0の具体例として、Googleの様々なサービスの一端を知ってもらい、 3)『ウェブ進化論』の序章を詳しく解説、敷衍しました…

Web 2.0

受講生の皆さん、こんばんは。 今日の授業では、標準的な情報倫理の知識を確認するテストを受けてもらって、その実態を知ってもらいました。8割以上が現実世界の「常識」で判断できることで、残りの2割弱はインターネット関連のごく基本的な知識があれば正…

いきなり『ウェブ進化論』

受講生の皆さん、こんにちは。4/12の初回の授業では、いきなり『ウェブ進化論』を話題にしながら、情報倫理を語る以前の、ネット状況についてお話しましたが、授業終了後、早速ソーシャル・ネットワーキングに関して、貴重な情報を伝えてくれた学生さんがい…