グーグル農場(ファーム)

essaさん(『アンテカ』)が、23日のエントリー「グーグルが本の電子化で狙う「うまみ」の正体は」をきっかけにしたbookscannerさん、中山さんとのやりとりにTBしてくださった。直接には中山さんによる「アトムのビット化」(ネグロポンテ)の指摘へのTBだが、essaさんはその論点を「グーグルのビジネスモデル」へと敷衍する私にとっては目から鱗が落ちるような見事な議論を展開されている。
「scanning every ATOM on the earth」http://d.hatena.ne.jp/essa/20060927/p1
さらに、その記事の中にリンクされている、「三上さん、これくらいは押さえておきなさい」と言われたような気がする(実際のessaさんは決してそんな無粋なことは言いませんが)、すでに今年の1月に記された三つのエントリーを、読み進むうちに、グーグルの「怖さ=凄さ」(中山)の技術的かつビジネス的基盤を、素人ながら、少し理解できたような気がした。

「世界で一番ググることがうまい人たちの集団」http://d.hatena.ne.jp/essa/20060118/p3
「ドクターファームとNシステム的世界」http://d.hatena.ne.jp/essa/20060122/p1
「「戦略技術」無き時代の「戦略技術」を見い出しつつあるグーグル」http://d.hatena.ne.jp/essa/20060129/p1

"scanning every ATOM on the earth" → ドクターファーム → ビット化されたアトムの中での新発見 → 利益 → さらなる "scanning every ATOM on the earth" というフィードバックループを独占することが、グーグルのビジネスモデルである。
scanning every ATOM on the earth

なるほど。なぜなら、

大量の「ビット化されたアトム」は、特定のタイプの人間を引きつける。その人たちは、ビット群からこれまで知られてない何かの意味を発見する。基本的には彼らは自発的に集まり、自発的に働く。だから、無理な動機づけはいらない。 "scanning every ATOM on the earth" をすすめ、ドクターのランニングコストだけ負担すれば、ほぼ自動的にそこから意味が汲み出されていくのだ。ドクターたちの内発的な動機に依存して、栽培するように「意味」を収穫していくので、私は「ファーム」という言葉が合っているように思える。
発見されたその「意味」は、一定の確率で利益を産む。それは、 "scanning every ATOM on the earth" が遂行されている場所以外で発見されることはあり得ないので、その発見は常にグーグルという企業の利益となる。
scanning every ATOM on the earth

そうか、「意味論」、「価値論」がポイントか。グーグルは「存在論」にはコミットしない、ということが哲学的にはポイントなのかな、と思い始めた。