花の名前:画像検索の難しさ

今朝の散歩では雨の中29枚の写真を撮る。枯れた草、落葉した樹々など、私のカテゴリーでは「成熟」と「円熟」に属する植物たちの姿を撮ったものが大半だった。剪定というより切断されて無惨な姿を晒す木を表す「ゴースト」一枚。「自然芸術」三枚。「未熟」二枚。未熟の内の一枚がこれ。名前は不明。ご存知の方、お知らせいただければ大変嬉しいです。

花の形は一見すると「すずらん」に似ているが、草ではなく木である。実は11月9日にも同じ花の写真を掲載していた。空家になって一年以放置されたままの隣家の庭の道路沿いにひっそりと咲いている。二冊の図鑑で調べたが同定できなかった。一冊は『北海道の樹』(北海道大学図書刊行会)で「葉の形」から検索するもの、もう一冊は『北海道の植物 野の花(上)(下)』(北海道新聞社)で「花が咲く時期」から検索するもの。「この本の使いかた」には「この本は、春から秋にかけて、花の咲くおおよその順番に並べてありますから、植物の名前を調べたいときには、花の咲いている時期によって本文のページをめくり、さがし出して下さい。」とある。「植物の名前を調べたいとき」は例外的な場合であるかのように書かれているが、このような植物図鑑の用途の大半はそういう場合なのではないだろうか。

昨日の美崎さんやmmpoloさんのコメントにもあったように、植物や動物の同定は難しいものだ。特に画像検索法の場合、どのような分類基準を設けるかで使い勝手に雲泥の差が生じる。植物の名前が調べやすいかどうかという検索の観点からみると、「葉の形」分類は使いやすかったが、中間的な形態の葉の場合にはそれだけでは不十分で、別の分類を組み合わせれば、格段に検索しやすくなると感じた。「花の咲く時期」分類はかなり使い勝手が悪かった。季節に数ヶ月も幅があるし、11月という分類はなかった。結局全部を見なければならないほどで、はっきりいって検索の用をなさない分類であった。

名前(言葉)を知っているときには、知識(言葉)に容易にアクセスできる。しかし形や色しか分からないときに、画像を頼りに検索し名前(言葉)にアクセスするまでのプロセスが非常に困難であることを改めて痛感した。画像検索の方法、画像への「タグ付け」は、コンピュータやインターネット上の問題であるのみならず、様々な領域の初歩的な学習にもかかわる未開拓の大問題であると思った。

ところで、上の未知の植物が「すずらん」に似ていたので、「すずらん」を調べたくなって、『大辞林』と『Wikipedia』を覗いた。名前(言葉)を知ってさえいれば、膨大な情報(言葉)に容易にアクセスできる。

日本名:すずらん(スズラン。鈴蘭)
異名:谷間の姫百合。君影草(キミカゲソウ)。
英語名:a lily of the valley(谷間の百合
花言葉:「幸福が訪れる」。「純潔」。「純粋」。
植物学的分類:ユリ科APG植物分類体系ではスズラン科)スズラン属に属する多年草の総称。
際立った特徴:「根・根茎を強心・利尿剤とする」(『大辞林』)。「有毒物質コンバラトキシンなどを含む有毒植物。全草に毒を持ち、特に根の毒が強い。子供がスズランを活けた水を誤飲して死亡した例もあり、危険である」(『Wikipedia』「スズラン」の項目2006.11.11)。
備考:「スズラン属の在来種は Convallaria keiskei のみ。観賞用に栽培されているのはヨーロッパ原産のドイツスズラン C. majalis。全国でみられるが、特に北海道が代表的。スズランとドイツスズランは似ているが、スズランの花茎は葉より短い、ドイツスズランは花茎が葉と同じ長さかそれ以上に伸びる。また、観賞用のドイツスズランの葉に黄色の縞が入ったものもある。なお、エゾスズラン(Epipactis papillosa)というのはラン科の植物であり、全く別の植物である」(『Wikipedia』「スズラン」の項目2006.11.11)

なお、スズランは札幌市の市花である。ちなみに、市木はライラック(rairakku6さん、最初はてっきり札幌の方かと思っていました)。市鳥はカッコウ。また、「すずらん」の名のついた公園が多い。我が家の近所にも「スズラン公園」がある(が、スズランを見たことはない)。南の郊外には広大な敷地の北海道唯一の国営公園「滝野すずらん丘陵公園」がある。