ジョナス・メカスによる365日映画、39日目。
Day 39: Jonas Mekas
Thursday February. 8th, 2007 7 min. 15 sec.
How Are You Doing
Tonight ? I sing
with Himalayas at
Zebulon, Brooklyn
80歳を超えてなお、いよいよ、新しい友を作り、女性を大切にし、音楽とダンスとワイン(酒)を愛すること、というポリシーを気合いを入れて実践しているかに見えるジョナス・メカス。どれひとつ欠けてもいけない。もちろん、溺れ過ぎてもいけない。私にはすべてが欠けている。一人で生きて行ける、音楽なんて要らない、と嘯(うそぶ)いてみたり、酒は弱いくせに深酒してみたり、踊りは奄美以来踊っていない、どれもこれも不合格だ。深く反省している。が、なかなかどうにもならない。
専門的な知識や技術を習得したり、仕事をこなしたり、思想を深めたりすることと同じくらい、友を作り、女性を大切にし、音楽とダンスと酒を愛することができなければ、一人前ではない、というメカスの声が聞こえる気がする。実は前者の深い目的は後者にこそある、と。ワーカホリックよろしく、仕事漬け、インターネット漬けの毎日を送るだけの生活をしているようでは野暮ったいったら、ありゃしない。たまには、経済と情報の輪から抜け出して、さあ、一緒に歌おう!ところで、お前にはこころおきなく一緒に歌える友はいるか?
あと30年生きられたとしても、私がメカスの域に到達できるかどうかははなはだ心もとない。
翻って、彼、メカスはそうする自分と「連動した」カメラを実は孤独に回しつづけている。それは人生の機械的な記録ではない。幸福な時間を過ごしている「自分+カメラ」が見る世界の記録である。幸福な時間=記憶も現実には失われ、奪われていく。それはフィルムに定着され、誰かに見られることの中でかろうじて継承されて生きながらえることしかできない。