生活の音楽 Cafe de Paris:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、67日目。


Day 67: Jonas Mekas

Thursday March. 8th, 2007
4 min. 52 sec.

At Cafe Conti,
in Paris
I am having a jambon,
my favorite Paris
meal --

カフェ・コンティ、
パリ。
ジャンボンを食べる。
パリでのお気に入りの食事。

テーブルの上には白ワインとハムサンド。そとはまだ明るい、開放的でカジュアルな雰囲気のパリのカフェ、ル・コンティで、ハムサンドに齧りつくメカス。バケットがちょっと噛み切りにくそう。白ワインは欠かせない。カメラがテーブルの上に置かれる。時々レンズの向きを変えて、店内と表通りの異質な光と空気を交互に捉えてる。自分が今いる場所の非常に細かい特徴を繊細に捉えている。店内に客はまばらだ。カウンター傍の若い男性客たちの話し声が店内に響く。皿やグラスがかち合う音も心地よく響く。昼食で混雑していた店から大勢の客が引けた後の、でも、まだ人いきれが微かに残っているような時間。常連客らしい老人が店のギャルソン給仕)か誰かに何やら話しかけている。聞こえるすべての音が生活の音楽になっている。メカスは独りだが、充実した時間を過ごしている。

場面は変わり、別の日の午前3時、金曜の夜、というか、土曜の朝だが、メカスは再びカフェ・コンティにいる。カウンターで白ワインを飲んでいる。若いカップルなど客はまだ大勢いて賑やかだ。通りも車が渋滞している。

さらに場面は代わり、ホテルの部屋から通りを見下ろす。建物の窓からもれる明かりに照らされる石畳が美しい。どこかの窓から漏れた話声が通りに反響する。「パリはまだ眠らないよ、ふふふ。」

ふと、 エリック・サティ(Eric Alfred Leslie Satie, 1866-1925)の音楽やロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec, 1864-1901)の絵を思い出した。

パリのカフェと言えば、ロンドンの コーヒー・ハウスも想起せざるをえないが、それはこちらにお任せしよう。