ジョナス・メカスによる365日映画、4月、93日目。
Day 93: Jonas Mekas
Tuesday April. 3rd, 2007
5 min. 35 sec.
A conversation
with Harmony
Korine --
ハーモニー・コリン
との
会話
とあるパーティーで久しぶりに再会したハーモニー・コリン(Harmony Korine, 1973)との会話。ベン(Benn Northover)を交えてメカスの突飛な撮影の思い出話を愉快に語るコリン。三人の会話の輪に美しく微笑んだ若い娘が入る。コリン曰く「十代の花嫁(teen-aged bride)」の十九歳のフィアンセ。メカスは二人を交互に撮りながら、「釣った瞬間(moment of catching)」と冗談を言う。最後には婚約指輪をクロースアップする。
***
コリン:(カメラに向かって)調子はどうですか、メカスさん。(コリンは煙草に火をつける)元気ですか?二年ぶり、三年ぶりかな?
メカス:ああ。付き合い続けよう。
コリン:最後に皆で踊ったのは、五年前、六年前のような気がするな。いや、そんなに昔じゃないかな。三年半くらい?
メカス:そんなに昔じゃない。
ベン:ジョナスがカメラを雑誌に縛り付けた話があったよね。
コリン:そう。ジョナスがやって来たんだ。皆で歌ったり、いっぱい悪戯をしたりした。ジョナスはワインを飲んでいた。僕はそれまで映像作家に会ったことがなかった。何をするかと思ったら、ジョナスはカメラを雑誌の端っこに置こうとしたんだよ。カメラが落ちると、ジョナスは笑って、それを元に戻すんだけど、そのときカメラの角度をずらすんだ。本当に素晴らしいと思ったよ。僕は彼がわざといつも雑誌の端っこに置いていることに気がついたんだ。驚いたよ。勉強になった。本当に面白いスタイルだと思ったんだ。
メカス:あれから一度も見てないよ。あのフッテージは五時間か六時間はある。カメラが回りっぱなしだった。
コリン:そう、カメラは回りっぱなしさ。クレージーな状況でね。(笑い)
メカス:可笑しいことを沢山話したな。
コリン:あれは小さなパーティーだったんだ。僕のロフトでさ。可笑しな連中が一杯いたんだ。
若い娘:私は彼のしらふの姿しか知らないわ。
メカス:いつか、あれを編集するつもりだよ。本当に本当に有名になったら、
コリン:あれは僕のすばらしい経歴になるよ。
ベン:君の経歴は台無しになる。
メカス:リリースするよ。
(コリンが吸う煙草の灰が落ちそうになるのを見て、黙って灰皿を手渡す娘)
コリン:サンキュー、ダーリン。
ベン:(小声で)ナイス・フォロー。
コリン:ジョナス、僕たち結婚するんだ。彼女は僕の妻になるんだ。十代の花嫁さ。
メカス:そうか。これは、釣り上げた瞬間だ。
(コリンとフィアンセは笑う)
ベン:婚約指輪かい?
コリン:そう、婚約指輪。彼女は19歳。20歳になる前に結婚したいんだ。
***
ハーモニー・コリンは、ラリー・クラーク(Larry Clark, 1943-)監督の映画KIDS(1995)の脚本で注目され、その後、若者や家族の現実的諸問題を低い眼差しから詩的に表現した監督作品「ガンモ(GUMMO, 1997)と「ジュリアン( Julien Donkey-Boy, 1999)で、独立系映画監督としての高い評価を得た。近年では、ストリート・マジシャンでスタントマンのデイヴィッド・ブレイン(David Blaine, 1973)のドキュメンタリーテレビ番組「Above the Below(2003)」が話題になった。*1映画三作目の最新作は今年日本でもロードショー予定のパリで行方不明になったアメリカ人の若者を描いた「ミスター・ロンリー(Mister Lonely, 2006)」。*2
*1:デイヴィッド・ブレインの公式ウェブサイトhttp://www.davidblaine.com/参照。
*2:YouTubeにGUMMO(1997)の分割ビデオの他にテレビのインタビュー番組、そしていわゆるニュー・ジャーマン・シネマ(New German Cinema)の旗手の一人ヴェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog, 1942)について語るビデオがアップされている。http://www.youtube.com/results?search_query=Harmony+Korine&search=Search参照。