White(?) Roses for Bruce Baillie:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、6月、169日目。


Day 169: Jonas Mekas
Monday June 18th, 2007
5 min. 48 sec.

a lazy Sunday
afternoon at Zebulon
& flowers for
Bruce Baillie--

けだるい日曜日
の午後をゼブロンで
ブルース・ベイリー
に花を…

珍しく日中のゼブロンで過ごすメカスとベン。店内には物悲しいファドの女性の歌声が流れる。自転車で店の前に乗り付けたアラブ系の若者。店内で神妙な面持ちで佇む犬に話しかけるメカス。カウンター越しに店員と会話するベン。午後の光が店内の床とテーブルに反射する。窓越しに通りの反対側の舗道に面した一角に薄いピンクの花がたくさん見える。ズームする。バラだ。

通りで若い娘二人と会話するベン。その内の一人は手に一輪の大きなバラを持っている。「あそこ」から失敬してきたようだ。

「あそこ」の前にやってきたメカス。敷地内からフェンスを突き抜けて舗道側に枝を伸ばしたバラの木が沢山の薄いピンクの花をつけている。中に赤い花も少しもある。「これをブルース・ベイリーに。君に。ベイリー。ウィリアムズバーグ、ブルックリンから。」ビブラートの効いた女性のシャンソンの歌声が聴こえる。

ブルース・ベイリー(Bruce Baillie, 1931-)はメカスが高く評価する映像作家、フィルム・アーティストの一人だが、「ゼブロンでのけだるい日曜日の午後」から、なぜ「ブルース・ベイリーに花を」につながるのかがよく分からない。ブルース・ベイリーの最初の作品がOn Sundays (1960-1961)だからでは弱すぎる。ブルース・ベイリーの公式サイトを見て、彼はかなり生活に困窮していることを知った。過去の作品をDVDアルバムのシリーズとして製作中だが、完成したのはVolume 1のみで、Volume 2の製作のために財政支援を求めている。それで勝手な推理が働いた。誤解かもしれないが、メカスは薄いピンクのバラを「白いバラ」(White Rose)に見立てて、ブルース・ベイリーに強いメッセージを送ったのではないかということだ。これは無理な筋かな。

4月23日に登場したピーター・ハットン(Peter Hutton, 1944-)と同様に、ブルース・ベイリーの全16mmフィルム作品はサンフランシスコのキャニオン・シネマ(Canyon Cinema)からレンタルまたは購入することができる。