ジョナス・メカスによる365日映画、7月、200日目。
Day 200: Jonas Mekas
Thursday July 19th, 2007
5 min.06 sec.
all about the
eternal rejuvenation
of plant life on
mother Earth
(see March 28)
母なる大地
の上で植物の生命は
永遠に若返る
メカスは3月28日に無惨に折れた街路樹に鎮魂歌を捧げた。
クレジットには「折れた木のための鎮魂歌。ブルックリンのサットン・ストリートとドリッグズ・アヴェニューが交差する辺り。その木は春を待ちわびていた--」とあり、私は「幹が鋭角に折れ曲がって、頭を舗道にのせたまだ若く見える濡れた街路樹。雨上がりの朝のようだ。メカスの鼻歌のレクイエムが聞こえる。右手がカメラの下から伸びて、たくさん芽吹いたばかりの枝にそっと触れる。芽には雨の雫が涙のように見える。色んな角度からその無惨な姿をしっかりと見つめるカメラ。……」と書いた。
あれから三ヶ月余りたった。あの木は折れた下半分が樹皮を削り取られた状態でまだそこにあった。そしてその周囲には何かを象徴するように雑草が生い茂っていた。「たまげたなあ」とメカス。しかも近づいてみると雑草の中から、生まれ変わりのような若木が生えているではないか。「永遠の回春eternal rejuvenation」というわけだ。折れて死んだ街路樹はまるでそのまま自ら墓になったかのようだ。そしてその墓を護るように雑草が生え、若い生命も育っている。メカスはその雑草がコンクリートの隙間から生えていることを確かめて、「若い木を見守って、その生長を祝福しているみたいだ。たまげた。」と言う。そして同行者との会話の中で最後に「これは、これは、これこそ、アートartだ」と小声でつけ加える。「アート」の最も繊細で脆く捉えがたい意味合いを感受する。
自宅アパート前の街路樹を見上げながら、メカスは文明の愚かさを笑い飛ばし、その垂れた枝葉に小声で囁く。「愛しているよ、愛しているよ、愛しているよ、……」