ジョナス・メカスによる365日映画、11月1日、305日目。
Day 305: Jonas Mekas
Thursday, November 1st, 2007
3:41 min.
scenes from
Paris -- a "fitting"
session at agnes b.
working studio --
and other scenes --
パリから
いくつかのシーンを。
アニエス・ベーの仕事場での
「仮縫い」の打ち合わせ、
その他のシーン。
(三つのシーン)
(1)日中のパリの街角で鳩の群れと戯れるセバスチャン。
(2)アニエス・ベーの仕事場で、新作衣装のデザインの細かい打ち合わせをするスタッフたちの様子。やや唐突に、アニエス・ベーが目の前にシルクの風呂敷のように見える大きな布を広げ始める。
その全面に河瀬直美監督の映画『殯(もがり)の森』(The Mourning Forest, 2007年)のタイトルの日本語文字と一場面が印刷されている。(この映画は日仏合作で、今年の第60回カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞「グランプリ」を受賞したが、プロデューサーのエンガメ・パナヒ(Hengameh Panahi)との出資交渉の過程にアニエス・ベーも関わっていたようだ。)彼女の姿が透けて見えるほど薄い布だ。Emmausさんが『殯の森』の音楽「Mogari」について、深いことを書いていたのを思い出す。
(3)夜の街角。通りをローラースケートにのった若者の数百人の集団が横断して行く。
仮装はしていないが、ハロウィンを口実にしたイベントの一環だろうと想像する。その後を7台以上の警察車両がサイレンを鳴らしながら追跡して行く。
***
三年前の今頃、サンフランシスコでローラースケートではなかったが、自転車に乗った同じような若者の群団が通りを占拠するように走り去るのを目撃したことを思い出した。
その時撮影した写真の一枚。日付は2004年10月29日。その時の文章の記録が今まで何度か引用した「カリフォルニア通信(19)」の中にあった。
サンフランシスコ歩行
クラシック音楽にかなり造詣の深いTさんの計画ですでに10月15日にマーラーのシンフォニー9番をサンフランシスコのデービス・シンフォニー・ホールに聴きに行きました。そして29日は彼の一番のお気に入りのラフマニノフに誘われました。Uさんはその誘いに乗り、学生時代にロシア文学と音楽は卒業したと思い込んでいる不遜な僕はコンサートはパスしましたが、二人に同行して、サンフランシスコに写真を撮りに行きました。TさんとUさんはラフマニノフのコンサートに、僕はコンサート会場のデーヴィス・シンフォニー・ホール前で二人と別れて、サンフランシスコの街の軸になっているマーケット・ストリートを中心に歩き回りました。午後8時から10時までのコンサートの時間帯に合わせて、約2時間のサンフランシスコ歩行でした。サンフランシスコと言っても、ユニオン・スクエアーとかがある観光名所のダウンタウンではなく、かなり南西寄りの、ちょっと寂れた風情の感じられるところを歩きました。
そこで、異常な光景に出くわしました。仮装し、奇声を発しながら、道路を占領して走り去る、チャリンコ集団でした。僕は面白がって、彼らの写真を撮り続けました。僕に笑顔の合図を送ってくれる輩も大勢いました。何百人いたか知れません。彼らの暴走の間、マーケット・ストリートは一時的自転車天国状態で、クラクションを鳴らしながら徐行する自動車が哀れな感じでした。そのうちサイレンとともに、数台のパトカー、白バイ?がチャリンコ集団の走り去った後を追って行きました。何だったんだろう?彼らは?(後日それはハロウィーンの前夜祭みたいなものだと分かりました。)2時間のサンフランシスコ歩行を終えた僕はコンサート・ホールに向かいました。その途中で歩道に死人のように横たわる男やゴミ箱を漁る女性に遭遇しました。またシビック・センターの広場で一服していたとき、自転車で近づいてきた黒人の若い男にはタバコをくれないかと声を掛けられ、彼の目の色を観察しながら、こいつは大丈夫だと判断して1本あげたのでした。