Who is Jean-Chriss ?:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、11月13日、317日目。


Day 317: Jonas Mekas
Tuesday, November 13th, 2007
5:25 min.

in Paris, in Jean-Chriss
studio, we fool around

パリで、ジャン・クリスのアトリエで
ふざけて遊ぶ。

最初に「これはベンと私が撮ったものである」という意味の字幕が入る。

Benn and I filmed
this one together


(撮影はメカス)手の指の隙間からレンズを覗き込むジャン・クリス。ベン(Benn Northover, 1980-)はマッチを何度も擦るが火がつかない。やっと火のついたマッチで銜えた煙草に火をつけ、格好つけて吸うが、すぐに大きく咽せる。(一同爆笑)ジャン・クリスは一本の煙草を玩ぶようにして視界から消してみせるマジックを色んなパターンで披露する。最初は見事に消して見せたが、最後には勢いよく動かした掌から煙草が背後にぽーんと飛んでしまう。(一同爆笑)「いいマジックだったよ」とメカス。ジャン・クリスの隣にはアニエス・ベーagnes b., 1941-)が座って煙草を吹かしている。彼らは暖かい雰囲気の内装と家具に囲まれた一室にいる。ホテルの一室かだれかの家の一室かどうかは不明。部屋にいるのはその四人だけだ。

(ここからはベンによる撮影)暗闇の中、月明かりを背にオオカミのように見えるシルエットが浮かぶ。森の中のようだ。「気をつけて!」というアニエス・ベーの声。「こっち」とベンの声。一同は蔦に覆われた家の前に到着する。扉の窓から中の明かりが漏れている。ジャン・クリス、アニエス・ベー、メカスの順で屋内に入る。撮影しているベンは最後に入る。三方の壁に大きなサイズの絵がたくさん、一部は重なって、立てかけられている。ジャン・クリスは画家だと分かる。バスキアJean-Michel Basquiat, 1960-1988)の「落書き絵」(Graffiti Art)に近いポップなタッチ、質の絵ばかりだ。しばらく絵を鑑賞する一同。「詩を書くように描くんだよ」とジャン・クリス。

一面赤く塗った縦長の板にメカスがペイントし始めた。メカスは書道風に、なかなか味のある「形」を迷わず描いてゆく。ベンの感嘆の声が上がる。ジャンは真ん中に円を描く。それを受けてメカスはアクション・ペインティング風に小枝の揺れのような繊細な線を描き込む。流石だ。

(左がメカス作、右はジャン・クリスのオリジナル作品。)
フランス在住の若い画家、ジャン・クリス(Jean-Chriss)に関する日英仏語情報はウェブ上には存在しないようだ。