専門演習1 西洋哲学史を学ぶ

今回は、橋本君の担当で「第3章 存在の思考へ」。副題は「あるならば、生まれず、滅びない」。扱うのはパルメニデス、エレアのゼノン、メリッソス。橋本君はA4三枚のレジュメをきちっと作ってきた。先週の高崎君に見倣って、自説部分が一目見て区別できるようなレイアウトの工夫もなされていて感心した。

熊野純彦さんの言葉では「思考を紡ぐ文体」、思想を運ぶ文体の話しから始まる本章の哲学史的観点からのポイントは、パルメニデスによる存在者ではなく「存在」そのものの思考の始まりについて。ただ、「文体」の選択は大切だという話しを補足。対話形式、箴言アフォリズム)形式、神話あるいは物語形式、等々。パルメニデスは「女の神」に「真理」を語らせるというスタイルを選択することで、語る、伝えることのある深い認識を示している、等。

師匠パルメニデスの後継者たち、ゼノンやメリッソスの逆説的な議論は、そもそも師の「存在」の思想を擁護するための議論であったことを押さえ、ただし、多様性と運動をめぐる厄介な議論の中から、空間と時間、無限と有限に関する認識が深まるなか、次の古代原子論へと発展する道が拓かれることを確認する。