言語哲学入門2007 第8回 真理とは何か

まず前回の復習をしますから、どこまで行けるか分かりませんが、一応今回の予定は、名の解明に続いて、命題の解明に進みます。そこで今まで曖昧なイメージのままだった「論理空間」のあり方が明らかになります。この段階で初めて対象の像としての名とは異なる言語要素としての論理語に照明が当てられます。否定と接続の言葉です。それらは命題の意味を論理空間を背景にして操作する機能を担うものと位置づけられます。つまり、世界の像としての言語は、基本的に名と操作から構成されるわけです。時枝文法(知ってる?)における詞と辞に似ていますね。

今までの探究の流れを含めてアウトライン化するならだいだい次のようになります。現実世界に対する世界の可能性としての論理空間は言語によって拓かれます。私たちはそのような論理空間を背景にして命題を主張するわけですが、それは論理空間全体を命題が真になる領域と偽になる領域に二分する行為であり、したがって、「語る」ということは、世界を刻々と真と偽に振り分け続ける行為であり、しかも、それは命題が真であること、そのような意味での「真理」を前提にしていると考えられます。なんだか難しそうだけど、面白そうですね。

今回は特にウィトゲンシュタインが「否定」と「矛盾」をどこまで徹底的に考え抜いたか、というあたりがクライマックスです。

講義項目:

1否定はなぜ生まれるか
2論理空間の構成
3同じ事態の異なる写像
4論理語と操作
5真理領域と真理条件
トートロジーと矛盾
7命題の意味