情報デザイン論2007 第9回 人生の地図

前回は、皆さんの現状に少し立ち入る形で、私たちが否応なく置かれている時代状況の一環に触れつつ、自前の知的生産環境の構築法についてお話しました。すなわち、私たちはインプットの面でも、アウトプットの面でも、未曾有の道具かつ環境を、その気になれば、いつからでも活用できる状況にいることを再度確認した上で、優れた先例を参照しながら、両者をつなぐ、巧く循環させる、さらには両者を包み込むような、知的態勢、体制を整える必要性について学んだわけでした。要するに、「名刺代わり」になる何かを作り始めるということでした。

さて、今回からはもう少し具体的に何をどうしたらいいか、といういわば各論に入ります。前回まではどちらかと言えば総論的な内容でしたね。

ところで、最終的に皆さんには以下の課題のいずれかを選択して作品として提出してもらう予定です。

1自画像および約20年の人生をベースにした人生地図、人生モデルのデザイン。
2こんな地図があったら、面白い、というオリジナルの地図の企画と実例。

今までも折りにふれて、「記録」することの大切さ、記録を死蔵させてしまわない工夫の重要性に触れてきましたが、人生の記録は人生の「地図」のようなものにまで高められる、深められる必要があると思います。つまり、「一生」という限りある人生の地図です。過去の体験を想起させたり、色んな未来を予感させるようなモデルと言えばいいでしょうか。もちろん、そのような人生地図はひとつとは限らないし、一度描いた地図が永遠普遍でもありません。それこそ、一生かけて描き続ける地図でしょう。

そこでまず今回は古今東西の「人生」に深く関わる「地図」の実例のいくつかに触れて、いろいろとインスピレーションを得る予定です。

講義項目:

1道の地図
2心の地図
3舞踏の地図
4川の地図
5人の一生を表わすモデル