気づきにくい不自由


2004年10月12日撮影

アメリカ滞在中に痛感したことのひとつに、日本で暮らしているとなかなか気づきにくい不自由さがあった。そのなかのひとつは新聞の宅配制度だった。知識としては日本にいたときから同族経営を含めた批判的な議論を目にすることはあったのだが、職場に行けば好きな新聞を自由に読むこともできたので、深くは考えることはなかった。ところが、実際にアメリカで生活していた時には、毎日毎朝コインをポケットに入れて、住んでいたアパート群の中央に位置する「クラブ」と称された建物に設置された一種の自販機まで新聞を買いに行ったのだった。その体験は新鮮だった。無料のデイリーから、50セントのタブロイド版や1ドルの新聞まで、その日の気分によって、自分の意志で選択して買うことの自由さを満喫した。もちろん、日本に暮らしていても、毎朝コンビニで自由に選択して買うことはできる。しかし、帰国後の実態は不本意ながら再び宅配制度に身を任せている。