トウモロコシ畑

札幌、曇り。風が強い。帽子を飛ばされそうになる。ときおり大きなうなり声が上がる。それにカラスの声が重なる。思わず「寒いっ」と口にして、一瞬実際に身が縮まるが、次の瞬間、その寒さを感じられることが幸せなことだという観念が頭を掠めて、身が少し緩む。でも、寒さをルンルン楽しんで味わうことはなかなか難しい。

トウモロコシ畑の雪ももう残り少ない。

ところどころ土の表面がひび割れていた。甲骨文字を連想する。亀裂が複雑に描かれた線に見え、そこに何か意味をもった文字が浮かび上がってくるような、その亀裂からトウモロコシ畑の声、音楽が聴こえてくるような錯覚に陥りそうになる。