スモールマガジン『ようこそ北へ2008』フラッシュバック5:心に危険な動物を飼う若い女

7月30日午後、三上研究室に入るなり、「あっ、『養老天命反転地』!」とか「あっ、〜!」と次々と私の過去の傷痕をめざとく発見し続けたのが、カニさん(id:kany)さんだった。まるで珍しい植物や昆虫を発見しては心躍らせる子供のように。





しかし本だけではない。上の写真(このエントリーの写真は「二匹の蝶」の切り絵を除いてすべてカニさん撮影のものです)に見られるように、カニさんは藻岩山展望台でも盤渓峠のワイナリーでも、スープカレーの店木多郎でも、札幌大学キャンパス内でも、それこそ他の誰も目にとめないようなものに好奇の視線を向け続けていた。私は気づいていたよ。そのまるで「全方位好奇心」とでも言えるようなちょっと危険なでもとても魅力的な小動物をカニさんは自分の中に飼っていた。そしてそれを大切に大切に育てていた。そのことがよく分かった。そしてそんなカニさんと時間を共にすることはこの上なく楽しかった。爺もいつの間にかきょろきょろしながらぴょんぴょん飛び跳ねる可愛いウサギになった気分だった。ウサギ爺。

もちろん、カニさんは特別講義でも懇親会でも、学生たちを次々とつかまえては彼らの中に好奇心アニマル魂をそっと植え付けていたことを私は見逃さなかった。というか、彼女に接した学生たちはみなそんな素敵な病に感染したのだ。カニさんはシュッポロのためのカードや「特別講義」用の手書きのスケッチなど、手作りのツールを沢山用意してきてくれた。そして何より、その場その場を心底楽しんでくれた。それが私としても何より嬉しかった。



圧巻は何と言っても31日午後、皆で美味しい塩ラーメン(お店は橘)を食べてから、空港に向かう金ちゃんを見送った後、三上研究室で一休みしてから向かった山口文庫での出来事だった。私がカニさんと田中さんを案内し、管理人Kさんに二人を紹介したとき、Kさんはカニさんが心に飼っている危険な小動物にすぐに気づいたのだろう、私もまだ入ったことのない秘密の迷宮の扉を二人のために特別に開けてくれたのだった。(独り言:えええ!なんで今まで俺に教えてくれなかったんだよお!)

それからの事の次第は推して知るべし。私は「仕事があるから、好きなだけ見てね」と言って研究室に戻って仕事をした。後で知ったのだが、「三上先生は、仕事って言ってたけど、ブログ書いてんだよ、きっと」と二人はカラカラ笑っていたそうな。若い二人よ、ブログは立派な仕事の一環です。念のため。

そうそう、結局カニさんたちは山口文庫の二つの迷宮に深く潜入し、途中「戦果」と称してあの『荒野を歩め』の写メールを前線の兵士からのメッセージのように送ってくれたのを最後に、なかなか帰還しなかった。坂東さんからiSummitでのミッションを終えてこちらに向かう旨の一報が入ってはっと我に返ったとき、すでに3時間近くが経過していた。5時閉宮直前になってようやくカニさんと田中さんは30%満足くらいの表情で戻って来た。(今度またゆっくり遊びに来て下さい。)その直後に坂東さんが到着し、一休みしてから、私たちはあのサッポロビール園に向かったのだった。