春が近いねえ!

薄曇。ところどころに晴れ間あり。ゴォー、ゴォー、裏山の林が大きく揺れる。藻岩山から吹き下ろす風が冷たい。突風に帽子を飛ばされそうになるたびに、慌てて手で押さえる。塀に沿って残る雪を崩し、陽の当る場所に運んでいた顔見知りのFさんが、私に気づいて、手を休めて、フーッ、春が近いねえ! と満面の笑顔を向けてくれる。そーですねー! と答えた自分の声の大きさにびっくりする。