道井さん


数年前から通りに面した自宅ガレージを開け放って、そこで毎朝コツコツと何かを作ったり、庭の草木の手入れをしている道井さんの職人っぽい姿に妙に惹かれてきた。今年に入ってから、ノウゼンカズラアフリカホウセンカなどの写真を撮らせてもらった際に初めて声をかけて、世間話をしている内に、その職人肌の真っすぐな人柄に惚れ直したのだった。その後、撮った写真を差し上げたこともあって、私の顔もようやく覚えてもらうことができた。一昨日の選挙の日の朝に「町内出張中」の道井さんのことをちょっと紹介もした(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20090830/p1)。今朝は以前から気になっていた種々の道具と得体の知れない部品や作りかけの作品が所狭しと置かれた自宅ガレージをちょっと訪問するつもりが、長居することになってしまった。そうは言ってもせいぜい15分程度だったが、長いインタビューをしたような気分になった。色んな話をうかがうことができた。案の定、驚いた。道井さんはとにかく生活の中でちょっとでも、こういうものがあったらいいのになあと思ったものを、間に合わせの材料でなんとか作ってしまう人なのである。小さなものは家の前の排水路を掃除するためのちょうどよいサイズのチリトリから、大きなものでは廃材とテントの布で作った自転車用の雨よけ小屋まで、とにかく思いついたものは「形」にしなければ気が済まない質なのだと御本人もおっしゃっていた。その創作、造形意欲は、庭木の剪定にも発揮され、見たこともない極めてユニークな形の松の木やモミジの木の盆栽の数々が町内でも一際異彩を放っているのだった。道井さんにとっての創作、造形意欲は人工/自然の区別を超えて発揮されている。創作のための材料、素材は、ゴミとして捨てられそうになったものたちから、山野で朽ちかけたり枯れかけたりした草木なのである。話をうかがっていて、そういうものたちへの道井さんの深い憐憫と愛情がひしひしと伝わってきた。素晴らしい! 年齢なんか関係なく、いたって元気な様子で、やりたいこと、作りたいものの計画で頭の中は一杯のようだった。