T's Gallery

イエローのカブトムシ(VW)を乗り回す愉快な人、武田さんの家は凄いことになっている。通りに面した家の前が骨董屋と廃品回収屋と現代アートのギャラリーをミックスしちゃったような極めてユニークな空間になっているのだ。そもそもは鉢植えの植物たちが控えめに置かれていたようだが、今やそれらを押しのけるようにして、目をみはる不思議なオブジェ、作品が所狭しと家の前の空間を占拠している。その前を通りかかった人はだれしも思わず立ち止まり、異次元世界への入口を覗き込んだような気分にさせられる。そして知らず知らずのうちに、とびっきりポップでシュール(超現実的)な、つまりは幸福の波動を全身に浴びることになる。



カワイイ。灰皿のプールに浮ぶペンギンとスイカ。ビー玉と花びらが水らしい効果を演出している。



隣家の前にはみ出した椅子と壺の二作品。なぜか、幟(のぼり)の台座石をはさんでおかれている。台座もまた作品なのかもしれないし、「距離感」が重要なのかもしれない。



三脚の鉄の台の上に載った太い針金が意味深に巻かれた壺。



何の手を加えずとも、それだけで圧倒的な存在感を示す大きな鉄瓶。



白塗りの台の上にのった中くらいの鉄瓶。文様が美しい。



小さな鉄瓶の上にスクリュー他複数の部品が重ねられている。スクリューがプロペラのようにも見えて天上への意志を感じさせる。



同じように鮭をくわえた木彫りのヒグマ三体。三体並ぶことによる反復が、愉快なスウィング感、リズム感を生み出している。



石の鍋の見知らぬ文様が刻まれた古風な鉄の把っ手に未詳のヘラが二本。把っ手に注目して、という声が聞こえる気がした。



蹄鉄をあしらった鋭角切断面の切り株とVWのロゴをあしらった切り株。赤塗りの角材は何かのサインか。



最も複雑な空間を構成する作品。複数の部品が積み重ねられた本体らしき左側の複合オブジェから飛び出した棒に浮き球入りの網が釣り下がっている。マルセル・デュシャンをちらりと連想させる。



カワイイ。大きな穴のあいた幼児の長靴型のプラスチック製の何かにテープを巻いたピンポン玉が入っている。


以上、まず最初に目にとまった作品を簡単に紹介したが、これらの作品はあくまで氷山の一角に過ぎない。