カメラの遺影



いつ全く反応しなくなるか分からないカメラの遺影を当のカメラ自身で撮っておこうと思い立った。カメラは自身を直接撮れないので、鏡に写った姿を間接的に撮ったが、ご存知、ご覧のように、左右逆に写ってしまう。仕方なく、携帯電話に付属する別のカメラで撮影した。ところで、PowerShot G7の故障原因について調べていて、ロシアンファームの存在を知った。ロシアンファームとは未詳のロシア人が書いた正式のファームウェアの機能制限を解除するプログラムのことである。G7に関しては、RAWで記録できるようになったり、動画撮影中にオートフォーカス機能が使えるようになる。正式のファームを上書きするわけではなく、SDカード上にプログラムを置いて起動時に読み込ませて機能強化する控えめなものである。ロシアンファームについて書くことはどこか「裏」っぽい空気に包まれているようだが、ネット上に表も裏もないだろう。実際にキャノンはロシアンファームの存在を把握しており、見て見ぬフリをしているらしい。私としてはそのような機能はどうでもよく、プログラムではどうしようもない、レンズとCCDセンサーの物理的性能に依存するデジタルカメラのダイナミックレンジがどれくらいに拡大するのか、フィルムカメラのベーシックな機能、さらには人間の視覚にどれだけ近づくのかという技術的、知覚認識論的問題にちろっとだけ関心があるが、それさえ、畢竟、どうでもいい。目と脳の代わりに、サッサッサっと気づいたものを記録していければいい。