ルチア・ドルゴスツェウスキ1998年1月



Jonas Mekas' Diary, March 18


プリペアド・ピアノprepared piano)曲の驚くべき一例。今は亡き、想像力溢れるポーランドアメリカ人の作曲家ルチア・ドルゴスツェウスキ(Lucia Długoszewski, June 16, 1931 – April 11, 2000)の最後の演奏のひとつ。曲名未詳。ジョナスは、演奏前のルチアに接近し、ピアノのプリペア(準備)に没頭する彼女の手元や楽譜ノートを見る。気がついたルチアが満面の笑顔で言う。「ジョナス、ハーイ! 来てくれてありがとう」ジョナスは演奏の一部始終を愛情の籠った視線で捉え続ける。20分におよぶ演奏が終わり、簡単な挨拶を終えたルチアが壁の時計を指差して、ちょうどいい時間だわと言う。ジョナスのカメラがあわてて壁の時計を探す。6時直前だ。1998年、23分の映像。なお、私はまだ見ていないが、ジョナス・メカスにはアメリカ現代舞踏家のエリック・ホーキンス(Erick Hawkins, April 23, 1909 – November 23, 1994)の「今ここで観客と」の抄録とルチア・ドルゴスツェウスキの演奏から成る6分の作品(Erik Hawkins: Excerpts from “Here and Now with Watchers”/Lucia Dlugoszewski Performs (1963/1983), 6 min.)がある。


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