カメラは見ている


ときどき電源を切り忘れたまま手に持っていたり、テーブルの上に置いたままにしてあるカメラにふと気づくと、思いがけない光景が液晶画面に写っていてハッとすることがある。カメラのやつ、こんな景色を見ていたのか、と思う。私の意識とは別個の意識がカメラに芽生えているような錯覚をおぼえる。もちろん、カメラは自分でシャッターを押せないので、私が代わりにシャッターを押す。そうして撮られた写真には、私が意識的にあれこれ工夫して撮る写真にはない新鮮さがある。そんなカメラとの付き合い方をもっと深めて延長していけば、少しはまともな写真が撮れるようになるのかもしれない。