どこにも行くところがなかった I had nowhere to go


Jonas Mekas' Diary, April 8, 2010


予告通り、ジョナス・メカスは共著My First New Yorkの出版記念イベントで、ニューヨークに流れ着いた当時の日記(I had nowhrer to goの一節をとても87歳とは思えない迫力でユーモアも忘れずに朗読した。聴衆は笑うタイミングを聞き逃さない。そしてそれに微妙な表情と仕草で応えるメカスだが、しかし、「どこにも行くところがなかった」私の物語である。そんなに易々と笑っていいわけ? メカスの態度は複雑だ。それは文字通りには過去形ではないからだろう。今もなお「どこにも行くところがない」のだ。でも、それを「どこにでも行ける」、「どこに行っても根を張ってたくましく生きられる」にひっくり返して、あなたはどうですか? とメカスは問いかけている。それに気づいたニューヨークの聴衆はいたのだろうか?