重力の恩寵

重力の恩寵

  鈴木一誌『重力のデザイン』青土社、2007年、124頁


たしかに、人間のあらゆる造形を含めた自然のあらゆる造形が、結局は重力にひれ伏すとしても、にもかかわらず、それ故に、反重力を指向するように、本もまた重力に抗して立ち上がり、「箱」のなかに重力から逸がれようとする生命の運動の力線を保存しようとする。つまり、すべては重力あっての造形であり、重力とは人間にとっての恩寵であるのかもしれない。