場所の記憶、記憶の場所

 夢のなかに行方不明の叔父さんが現われて呟いた。
「嘆くことはない。消滅する路地は、ひとの内面に場所を移すだけだ」*1
(でも、それを記憶したひともいずれいなくなるでしょ?)
「それが嫌なら、お前が一篇の詩のなかにでも場所を移せばいい」

*1:辻征夫「亀戸」より