象徴的な死:アンゲロプロス


隧道(トンネル)の中はいつも夜で、這入り込んだ者はオルフェウスさながらに入口から射す光を振り返らないように出口から差し込む光を待つ。アンゲロプロスは振り返ってしまったのだろうか。誰かが言ったようにカメラは夜を運び、光を迎える。トンネルの夜の中でカメラの夜はどんな光を捕まえようとしていたのだろうか。痛ましい事故であると同時に、これほど映画という夜が夢見る夜に憑かれた監督の死にふさわしい事故死はないように思えた。合掌。