オデュッセウスかユリシーズか


ギリシャ語「Το Βλέμμα του Οδυσσέα」



日本語「ユリシーズの瞳



英語「Ulysses' Gaze」



ドイツ語「Der Blick des Odysseus」



フランス語「Le regard d'Ulysse」



イタリア語「Lo Sguardo di Ulisse」



スペイン語「La mirada de Ulises」


アンゲロプロス監督の映画『Το Βλέμμα του Οδυσσέα』(1995)の邦題はなぜ『ユリシーズの瞳』なのだろう? ずっとひっかかっていた。なぜギリシャ語の原題に由来する「オデュッセウス」ではなく、ラテン語に由来し、英語の発音に倣った「ユリシーズ」なのか、なぜ日本人にとってもギリシャ神話で馴染みのある「オデュッセウス」ではないのか。まるで ギリシャ語のὈδυσσεύςがラテン語から英語、英語から日本語へと、物語の中の英雄のように、長い苦難の旅を強いられているかのように思えてきた。