裸足で歩けたら

底の薄い靴を履きはじめて一ヶ月。歩くのが楽しい。といっても、「歩いた」と言えるのは朝晩の風太郎との散歩の時だけ。でも、コンクリートアスファルト、公園の芝生、そしてそれぞれの表情の複雑な変化を足裏にかなり直に感じながら歩くのは気持ちがいい。ここ、札幌でも、もはや土の上を歩くことはなかなかできない。足裏からの刺激が全身、頭にもビンビン伝わり、脳が活性化されるような感じがする。色々とひらめく。裸足で歩き回ったら、もっと気持ちいいだろうな、と思う。しかし、それは色々な理由で許されない。

昨日は一日中、「はてな」への接続がなぜか不調で、自分のブログも、はてな関係のブログもブラウズできなかった。今日になって、回復。何だったのか、原因不明。そしてbookscannerさんからコメントが寄せられていた。僥倖(serendipity)!興味のあるかたは8月29日の「bookscannerさんの挑戦」のコメント欄をご参照ください。

朝日の朝刊に目を通す。……。すると、生活面で林望さんのつつましいけどしゃれたコラム「スタイルブック」が目に留まった。
2006年8月31日(木曜日)朝日新聞(朝刊24面)
「北海の風を感じながら」と題された、7月の末、熱波に包まれたイギリスでオールドバラという町へ出かけ、じりじりと灼ける陽光の下で、北海を渡って吹いてくる冷たい風を肌に感じた体験がよく伝わってくるとても印象的な文章だった。「目に見る感じと実際の肌の感触が全然一致しないのだった」。面白い。目は騙されやすい、というよりは人間が自然から情報を受け取る方法が、かなり偏っている証拠だという点で面白い。林さんは車(何だろう?)で移動なさっているようで、私が一番興味のある「道」そのものの記述が少ないのがちょっと不満だった。「町を外れ、海岸の道を進んだ。やがて舗装が尽きると、そこに……」の行では、その舗装された海岸の道がどんな舗装で、車のタイヤはどんな軋み方をして、もしそこを歩いたらどんな感じがするだろう、と思った。
ところで、作曲家ベンジャミン・ブリテンとか音楽祭に馴染みのない私にとっては、「オールドバラ」は初めて見る町名だった。アルファベットではどう綴るのだろうとも思った。答えはAldeburgh。エディンバラEdinburgh)もそうだが、「バラ(burgh)」を調べ始めると、イギリスという不思議な国と英語の歴史を彷徨う事になって、面白そう。また、オールドバラ博物館が魅力的だ。その公式サイトの扉には大きく「Sun, Sea & History」とある。「太陽、海そして歴史(物語)」。「太陽」と「海」が「歴史」と同格に並んでいるところが素晴らしい。おそらくその「歴史」を熟知している林さんは敢えて「太陽」と「海」を体験したわけだ。