HASHIさんのインターネットへの信頼

HASHI[橋村奉臣]展公式サイトに「ブログ記事紹介」ページが存在すること自体に私は新鮮な驚きを感じていた。私は橋村さんのウェブサイトやウェブログ等のインターネット上のコミュニケーションに対する度量の大きな信頼を感じた。それは梅田さんがいうところの「不特定多数無限大」に対する「信頼」であり、玉石混淆、清濁併せ飲んだこの現実世界を、その「負の部分」も含めてまるごと引き受けつつ、そこから「正の部分」を救い上げるという肝の座った姿勢の故だと思う。日本ではまだまだインターネット全般に対する、その「開放性」に伴う様々な現実的リスク、トラブルのゆえに、ある意味では仕方のない「負のイメージ」が根強く、とりわけ旧来の知的伝統に属する人々は、ネットから距離を置く傾向が強い。もったいないことだと思う。しかし、アメリカ、ニューヨークで生きる橋村さんは、おそらく、インターネット全般に対する日本(語)的環境内における日本(語)的先入観からは自由でいらして、むしろ、旧来の体制に縛られない、知やコミュニケーションの可能性を実感として持っていらっしゃるように想像する。インターネットの「正の部分/負の部分」の割合を一概に数値化することはできないが、たとえ、「正の部分」が1%であったとしても、それに懸けることは、残りの99%のマイナスを蒙ったとしても、価値のあることのように私は感じている。それに旧来のメディアやそれに関わる作法にも、マイナスやデメリットが少なくないわけではないのだから。大局的には、何事も「私有」から「共有」の方向へ向かわざるを得ないと考えているし、散在する記憶を繋げて、より大きな記憶の資源の中から、新しいヴィジョンを、アイデアをどんどん出せるような状態が、あちらこちらで生まれなければ、終わってるよなーと思ってしまう。