情報倫理受講生の皆さん、今晩は。明日から講義が始まります。情報倫理は情報と倫理が居心地悪そうにくっついた名前ですが、イメージは湧いていますか。情報と言えば、パソコンとインターネット、倫理と言えば、道徳のことで、パソコンやインターネットを利用するさいに気をつけることや守るべきことかな、と思った人が多いのではないでしょうか。それで間違いではありません。実際に「情報倫理」と銘打たれたテキストでは、ほぼそのような線にそって人類にとっての新しい環境としてのネットワーク、特にインターネット上で成立しつつある社会で守るべきルールとしてのモラルが語られます。
しかし、そこで特徴的なことは、ネガティブな話ばかりだということです。こういうことはしてはいけないとか、こういう危険があるとか、実際にこんなトラブルがあったとか、まるでインターネットは悪の巣窟のようなイメージを持ってしまいかねません。それでいいのでしょうか。インターネットにはもっと「可能性」があるのではないか。プラスのイメージを思い描ける本質が宿っているのではないか。そして、そのようなポジティブな観点から、インターネットで起こっていることを前向きに捉えて、道徳とかモラルとか倫理と呼ばれる人間の言動を規制するようなルールに関する思考を、もっと自由な思考、生きる勇気や希望につながるような思考、新鮮なモラルや倫理の思考へと繋げることができるのではないかと私は考えています。
そういうわけで、シラバスにあるように、この講義ではネットワーク利用上のモラルやリテラシー、インターネットの「負の側面」への注意喚起としての教科書的な「情報倫理」を学ぶことに留まらず、特に近年のインターネットにおける大きな変化に目を向けて、インターネットの「正の側面」、「可能性の本質」を知り、より高度で生産的なリテラシーや倫理を学ぶことを目指します。
教科書としては、梅田望夫著『ウェブ進化論』(ちくま新書、2006年2月刊)と梅田望夫&平野啓一郎著『ウェブ人間論』(新潮新書、2006年12月刊)を使用します。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
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- 作者: 梅田望夫,平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/14
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明日は初回ということで、オリエンテーションをかねて、ここ数年でインターネット上で起こった大きな変化について、私の経験を交えて解説して、へー、そうなんだ、凄いかも、という皆さんの反応を期待したいと思っています。