Greetings from North Island







祖父母が逝き、父が逝った土地で新年を迎えた。午前7時初日の出は難産を思わせる壮絶なドラマのようだった。生まれたての赤児のような太陽は怒りのような血にまみれているかに見えた。「連続したもののなかに、区切りを見いだす暦というのは、とても不思議な発明です」(美崎薫)の「区切り」という言葉に、「心が血を流し続ける」の遠い谺を聴き取っていた。程よく忘れることが利己的に幸せに生きるコツなのかもしれないが、何も忘れないと決めた心が向かうのは、己を捨てて、心を神の領域に差し出すことなのかもしれないと感じていた。西でも東でもなく、北でも南でもなく、「無辺」に根を降ろす覚悟が問われていると思いながら、藻岩山麓に戻ってきた。謹賀新年。