booksonomy?

mmpoloさんが「題名が分からなくてもどかしい思いをした」大変興味深い「本の検索」、「検索」一般にも深く影をおとすであろう事例を報告している。

2007-01-21題名の分からない本
http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20070121/1169331515

題名をはじめ、いわゆる書誌情報(メタデータ)がほとんど分からない状態から、なんとかその題名に辿り着きたい。てがかりは、主に記憶に残るその本の最後のシーンを表す記述しかない。

小学生のとき学校図書館で借りて読んだ本で、子供向けの外国の小説だった。最後のシーンだけ覚えていて、失恋した青年が海中にやっと頭を出している岩に座ってじっとしている。やがて潮が満ちてきて青年は座っている岩もろとも海中に没するという話だった。

どうしたらいいか。大変面白い。mmpoloさんは流石に機械的な検索では到底無理と判断し、賢明にも「人力検索」を頼みの綱にした。

誰かご存じの方がおられたら教えてほしい。

mmpoloさんの「もどかしさ」は、顔は浮かぶのにどうしても名前が思い出せない「もどかしさ」にも通じる。同じように名前の分からない植物の「画像検索」の難しさに通じるものもある。「検索エンジン」のあり方に関する問題提起にもなっている。普通に世界を知るのに「固有の名前」は絶大な力を持っていることをも再認識させてくれる。

Googleなどの検索エンジンを使って、mmpoloさんの記憶を代表するような数語のキーワードを工夫して、検索にかけてヒットしたページの中から本のメタデータ(書誌情報)に辿り着ける可能性はかなり低いと思われる。ちょっと試してみたが、「絶望的」な気がした。その検索は、その同じ本を読んでmmpoloさんと同じような体験(最後のシーンに打たれた)を持った人の印象記が書誌情報とともに記載されたページを探すことを意味するが、少なくとも今のところそれは不可能に近いのではないか。

(1)固有の名前(書誌情報)→印象(記憶):Taxonomy→Folksonomy
(2)印象(記憶)→固有の名前(書誌情報):Folksonomy→Taxonomy

つまり、一般に(1)は流れを下るように容易だが、(2)は激流を遡行するように大変なことだ。

しかし、bookscanner(id:bookscanner)さんのいう「本の電子化」が進み、Google Book Searchなどで、世界中の本の中身も全文検索できるようになり、かつ、booksonomyとでも言うべき一般読者による本のタグ付けもある程度進めば、(2)の検索も容易になる時は来るだろう。それまでは、mmpoloさんのように、知っている人を探す、「人力検索」に頼るしかないのではないか。