From Soho to Greenpoint:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、28日目。


Day 28: Jonas Mekas


Sunday Jan. 28, 2007 5 min. 50 sec.

I filmed this on the
day of Epiphany
in
Greenpoint, Brooklyn.
Camels, kings, sheep,
and much more!

これは公現祭の日に、
ブルックリンのグリーンポイント
で撮影した。
ラクダ、王様たち、羊、
もっとたくさん!

メカスは2004年2月に、30年間生活したソーホーを去ってグリーンポイントに移った。それは新しい場所に根を下ろしてみせる実験のような移動だった。その年メカスはグリーンポイントでの新生活を記録した『Letter from Greenpoint』を発表する。

「グリーンポイントに引っ越したとき、皆にそんな退屈な町はないと言われた。何もない。子ども達が通りを走り回り、空き箱を蹴ってるだけだ、ポーランド人たちが家で故郷を夢見ている、と。」メカスの詩の朗読のような声に、寒い光景が重なる。木の枝にひっかかって風に踊る千切れた袋、高架道下の雨に濡れた人気のない通り、高架道を通るトラックとバス、ゴミ缶の列、ゴミ袋。

画面は一変し、期待して出かけたという公現祭のパレードで「見たもの」が映し出される。

パレードの先頭を紫と緑と金色を基調とした伝統的なカーニバル色の派手な衣裳を身につけた三博士(三人の王様)がゆっくりと歩く。その後ろに、ぞくぞくと人と動物が続く。大音量の音楽、激しく踊り歩く王様に扮した男達、何よりもカメラは動物たちを慈しむように捉える。羊、ロバ、山羊、そして最後にはラクダ。

グリーンポイントと言えば、映画『セルピコ』(1973)でセルピコアル・パチーノ)が重傷を負って担ぎ込まれた病院がグリーンポイントの病院だった。ポーランド系移民の多いことで知られる地区で、「マンハッタンからひょいと行けるポーランド」といった感じらしく、美味しいハムを売る肉屋さんがいっぱいあるようだ。

80歳を過ぎてから、メカスは住み慣れた町を去って、新しい町で新しい友人を作り、新しいことを始めようとした。「根はどこにでも降ろせる。何もないかに見えるのは、場所に何かを期待するからだ。自分がなすべきことが分かっていれば、どこにでも根は降ろせる。どこにでもすべてはある」。そんなメカスの声が聞こえる。