情報文化論 2007 第1回 情報文化論とは何か:情報は編集される

情報文化論受講生の皆さん、こんばんは。明日から講義が始まります。明日の講義ではオリエンテーションをかねて、この講義の狙いやアウトラインをつかんでもらう予定です。あわせて、大学の講義を初めて体験する一年生の皆さん、就職活動に忙しい四年生の皆さんもいるので、講義以前的なアドバイスと講義を超えたアドバイス等もするつもりです。講義内容に関わる資料としては以下のようなレジュメ他を印刷して配布しますが、他に、ウェブサイト「三上研究室」の「情報文化論」のページhttp://homepage.mac.com/mikami_m/archives/culture.htmlの「1編集とは何か」、「2情報のルーツと視野の拡張」、「3世界を相手にインテリジェント・マップを作る」あたりも参考にしてくださいネ。それでは、明日会えるのを楽しみにしています。

情報文化論 2007 第1回 情報文化論とは何か:情報は編集される

1はじめに
(1)方針
歴史を情報の窓から眺める
(2)ガイドライン
情報はつながっている/情報には不可知の来歴がある/歴史は「彼方」からはじまる
(3)目的
編集とは新しい関係の発見であることを理解し、実践する

2情報とは何か
(1)一般的定義
メッセージが読み取れるものすべて/区別でき、差異のあるもの/事に柄が読めるもの
(2)科学的定義
生物学的情報:遺伝情報、神経情報、感覚情報
物理学的情報:エントロピーの逆数で計算する値
電気通信工学的情報:雑音を排除したメッセージ信号

3情報文化
情報を伝えるメディアの様式
(例)生活、技術、産業、交渉や戦争、宗教や祭り、芸術や芸能

4情報技術
情報を伝えるコミュニケーションに関するすべての仕組み
(例)文字、神殿、文様、カレンダー、手話、ラジオ、テープレコーダー、パソコン、インターネット

5人類の歴史
情報文化と情報技術の歴史

6編集とは何か
(1)狭義の編集
書物、新聞、雑誌、TV番組、映画などの制作過程の一段階のこと。
(2)広義の編集
情報を組み立て、それを構成したり再編成したり、またそこにゲームやルールを作っていくことすべてが編集である。
文学や芸術活動、子どもの遊び、家事や育児、さらには歴史、政治、経済、宗教も編集である。

7編集の本質
編集とは「関係づける」こと。編集の真骨頂は「関係の発見」にある。
編集とは一見、ばらばらに見えている事柄や現象が、実はどこかで関係し合っていることに注目し、それを構成することである。
その関係線を発見し、その意味を探ることである。

8歴史
編集の成果で仕上がった複雑きわまりない織物である。
歴史を意味するhistoryは「物語る」という意味を持つ。
歴史のなかにひそむ物語を読み解き、その編集のしくみを見ることが重要である。

9物語
各民族がかかえてきた情報が凝縮して編集されたものが物語である。
仏典、聖書、神話は読む物語である。
景観、建築、文様、装飾、彫刻、絵画は見る物語である。

10知識
知識は編集の素材であり、源泉である。知識がなければ編集は動かない。
既存の知識を比較し、組み合わせ、近くに持って来たり遠ざけたりしてみることが、編集では重要である。