情報デザイン論2007 第5回 方法論2:編集的世界観(知識と物語)

私たちは日々刻々と何らかの物語を生きながら、そのなかで色んな知識を活用しています。知識は何らかの物語の中で相応しい場所を得て生きるんですね。ところが、なかなかそうはいかない場合もある。頭が消化不良を起こしたり、パニックに陥ったりするのは、手持ちの物語に収まりきらない知識や情報がある限界を超えて増え続けるからです。その状態を乗り切るには、そのような知識や情報が適当な場所を得るような世界を組み込んだ物語を構築するしかありません。

そんな融通の利く便利な世界なんてあるのか、と疑うかもしれませんが、あるんです。それが前回説明した「述語的世界観」でした。凝り固まった一個の中心のような主体性を解きほぐして、世界を本来の多様なつながりの相において感じ、見て、知る世界観でしたね。世界を実体ではなく関係の束のようなものとしてみる見方です。そのような見方に基づいて、各自物語を構築し実践することになるわけですが、さて、実際には何をどうすればいいか、が今回のテーマです。題して「編集的世界観」。知識や情報を「編集」すればいい、それが結論です。では「編集」とは何か。今回は知識と物語の関係を背景にして、「編集」の内実に迫ります。

講義項目:

1文房具革命
2知識表現の限界
3物語の情報編集様式
4何ごともつねに途上にある
5自己編集
6相互編集
7新しい知識の形