ジョナス・メカスによる365日映画、4月、101日目。
Day 101: Jonas Mekas
Wednesday April. 11th, 2007
2 min. 25 sec.
At Mars Bar,
with Dominique,
we talk about video,
light, and
Luis Bunuel --
マーズ・バーで
ドミニクと、
映像、光、そして
ルイス・ブニュエル(1900-1983)について
話す
アンソロジー(Anthology Film Archives)のオフィスで、こちらにカメラを向けるドミニク。SONYの大型のデジタル・ヴィデオ・カメラだ。
突然乱暴に傾いた映像につながる。薄暗いマーズ・バーの狭くて細長い店内。メカスとドミニクはカウンターの奥のテーブル席についている。表通りに面した大きな窓は外光で真っ白に光っている。店内の客たちは逆光の中でシルエット姿になっている。
と紹介したマーズ・バー。その日は、メカスは二人の旧友とカウンターで寡黙にグラスを傾けていたのだった。店内にはコルトレーンのバラッド「I Wish I Knew」がジュークボックス*1から流れていた。そして3月29日「 my melancholy fate, Zoë Lund」ではカウンターの一番奥の席で話すゾーイ・ルンドとメカスがいた。
ドミニクとメカスは再会の約束をしている。「飛んでおいでよ。会いにきてよ。来れる?」とドミニク。「ああ。君のほうこそまた来てよ。」とメカス。ところで、という間合いをはかって、「言いたいことはね、暗い場所では、人々は暗く見えてしかるべしということさ。」とメカス。「そうだ」とドミニクは大きく頷く。「ここは暗いバーだよ。すべてがいい感じ(good enough)だ」とメカス。あっはっは、とドミニク。二人は乾杯する。*2そこに素性不明のメカスの旧友が若いフランス人の男性を連れて来て、紹介する。
飛び入りの仲間のために、荷物をよけるドミニク。メカス、ドミニク、フランス人の若者、メカスの旧友、そしてもうひとり素性不明の長髪髭面の若者の五人は祝杯をあげる。「サリュー(乾杯)!、ブニュエルに」。素性不明のメカスの旧友は、マティーニとジンにまつわるブニュエルの逸話を披露する。いつの間にかドミニクはカメラを構えてファインダーを覗いていた。
ドミニク(Dominique Russell)はカナダのウェスタンオンタリオ大学(the University of Western Ontario, f.1878)で教鞭をとるかたわら、詩を書き、映画を作り、舞台の脚本も書いている。特にスペインの映画に関する研究でしられる。今日の隠れたテーマになっているメキシコの、ということはスペインのルイス・ブニュエルに関する論考はもちろん、ビクトル・エリセ(Víctor Erice, 1940-)に関しても書いている。世界の映画に関するポータルサイトsenses of cinemaでもLuis Buñuelの項目を担当している。