Valentin Ralchev & Knifefishes at a Zurich bar:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、10月19日、292日目。


Day 292: Jonas Mekas
Friday, October 19th, 2007
4:49 min.

in a Zurich bar
Valentin Ralchev
(from Sofia, Bulgaria)
has a good time
with old pop ---

チューリヒのバーで
ヴァレンタイン・ラルシェフ
ブルガリア、ソフィア出身)
はオールド・ポップを
ご機嫌に演奏し歌う。

スイス滞在シリーズの五回目。9月9日のフィルムでは、メカスはヒマラヤズと共にスイスのヴィリサウ・ジャズ・フェスティバルに出演していた。9月10日には、ヒマラヤズのヴィリサウの町を演奏しながら移動する「祝福」の儀式に同行していた。9月12日には、息子のセバスチャンとベン・ノースオーバーと一緒にヴィリサウの森で迷いながら同じスイスのチューリヒで眠るジェイムズ・ジョイスに乾杯していた。9月28日には、メカスはヴィリサウからもチューリヒからもかなり離れたニヨン(Nyon)のホテルに独りでいた。

そして五回目の今日、メカスはとうとうチューリヒにいる。しかしブルックリンのMars Barとは違いメカスには似つかわしくないちょっと高級そうなバーに。照明を落とした店内ではまだ若い男のピアノの演奏と歌が始まった。その男はブルガリアのソフィア出身のピアニスト兼歌手のヴァレンタイン・ラルシェフらしい。曲は聞き覚えのある懐かしいポップス。曲名は思い出せない。ラルシェフは「錆び」のある張りのある声で悲しく甘いラブソングを見事に歌い上げる。ピアノの演奏もしっかりしている。

メカスはカウンター席にいてグランドピアノ越しにラルシェフの歌う姿を正面から捉えている。メカスのすぐ傍でラルシェフの歌に合わせて歌う男の声が聞こえる。カメラはその声の主、酔いしれた様子のベン・ノースオーバーを捉える。ノラ・ジョーンズのことでも想っているのだろう。カウンターの端に置かれた大きな水槽の中では、金色と黒色の二匹の古代魚の一種ナイフフィッシュ(Knifefish)が優雅に泳いでいる。

ヴァレンタイン・ラルシェフに関してはヨーロッパ各地のバーやパブでのライブの記録がある程度で、まとまった情報はウェブ上に存在しない。日本語情報は皆無である。